2023 Fiscal Year Research-status Report
労働法と経済法の関係の再定位-労働者性および労働法と反トラスト法の調整に着目して
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22K01196
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大木 正俊 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (00434225)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 労働法 / イタリア法 / 労働者概念 / 労働法と経済法 / フリーランス |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は近年の議論を中心に、労働法と経済法の関係に関する研究状況をまとめ、比較法的視点を踏まえつつ検討をおこなった。具体的には、研究代表者は、2023年10月に行われた日本労働法学会の大シンポジウム(「「労働法と経済法(競争法)の関係の整序に向けて-比較法的考察から」」)の報告グループに所属していたところ、グループの他の報告者による研究(ドイツ法、EU法、アメリカ法、イギリス法)を参照しつつ、日本の議論状況の整理、検討をおこなう「労働法と経済法の関係をめぐる日本の現状と課題」と題する報告をおこなった。また、この報告を元にして日本労働法学会誌掲載予定(2024年5月発刊予定)の論文を執筆し、学会報告およびその後の質疑応答を踏まえた論文を執筆している。 他方で、イタリア法やアメリカ法の調査については、学会報告後に、初年度からさらに進んで文献調査をすすめている。特に、イタリア法については、労働者概念やフリーランスの保護立法との関係においても興味深い展開をみせていることから、労働者概念の拡大に好意的な学説および慎重な学説、さらにはフリーランス保護立法の学術的な評価などに関する論文を読み込み、イタリアの議論のまとめをおこなっているところである。その成果は、2024年度に論文を執筆して公表する予定である。アメリカ法については、イタリア法ほどは調査は進んでいないが、日本でいくつかの研究が出始めているところであり、日本の研究を参照することで効率的に研究を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記研究実績の概要に述べた通り、学会報告などをおこない、また外国法の文献調査等も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度後半より本格的に調査を始めたイタリア法について、その内容をまとめる論文を執筆する予定である。イタリア法の展開は、労働者概念に関わる立法、判例、フリーランス保護立法に関わる歴史的経緯、従来から存在する立法、最近の立法など多岐にわたっているため、それに多くの労力が費やされるものと予想される。
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Causes of Carryover |
研究計画は順調に進んでいるが、個人的な事情により本年度も海外調査をおこなうことができなかった。繰越分は、海外調査文に対応する。
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