2022 Fiscal Year Research-status Report
Computable General Equilibrium (CGE) Analysis of Global Supply Chains
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22K01464
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
板倉 健 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (90405217)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | グローバルCGEモデル / 貿易政策 / グローバル・サプライチェーン / RCEP / CPTPP / 計算可能な一般均衡モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国際供給網の拡大と再編の経済効果を分析可能とするグローバル CGE モデルを開発し、経済的な影響を複数の将来シナリオによる数値シミュレーションにより明らかにすることを目的としている。また、グローバルサプライチェーンを詳細な貿易データで把握することで、中間財取引を通じた自国産業から他国産業に波及する経路について分析を行う。 2022年の研究実績として、世界最大のFTA (Free Trade Agreement)であるRCEP (Regional Comprehensive Economic Partnership Agreement)の経済的影響の分析を行い国際学会で報告した。分析では、グローバルサプライチェーン構造を備えた逐次動学グローバルCGE モデルを開発し、世界経済の将来を記述するベースラインシナリオとRCEPを対象とする政策シナリオを構築し、両者のシミュレーション結果を比較することで、RCEPによる関税と非関税障壁の削減、貿易円滑化、投資自由化の経済的影響の分析を行った。また、CPTPP (Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership) を対象として、CPTPPの加盟国拡大や米国の協定復帰を分析した結果を報告し学術雑誌にて出版した。 また、これまで国を分析単位としてきたグローバルCGE モデルを拡張することで、日本の都道府県という国内地域への影響を考察可能とするデータベースとモデルの開発も行い、国内外の学会において研究報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題の一つである、グローバル・サプライチェーン構造を備えた逐次動学型グローバルCGEモデルとデータベースの開発・拡張、分析用ベースラインシナリオ構築が可能となった。政策シナリオとして、RCEPやCPTPPといった世界最大規模のFTAを分析シナリオで表現し、潜在的な経済的影響を考察し、分析結果を論文として出版することができた。さらに、日本国内の都道府県を対象にモデルとデータベース開発を行い、国内外の学会において研究報告したことが本年度の成果といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
グローバルCGEモデルとデータベースの開発を継続し、ベースラインシナリオの更新と精緻化を行う。RCEPとCPTPPの両者を分析対象とした政策シナリオの分析を実施する。また、国内地域分割を備えたグローバルCGEモデルとデータベースの開発と応用も継続する。
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