2023 Fiscal Year Research-status Report
Multidimensional Analysis on Trade Costs
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22K01468
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
武智 一貴 法政大学, 経済学部, 教授 (80386341)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 世界貿易機関 / 紛争処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は貿易費用に関する研究の成果を海外学術雑誌に投稿した。まず、海外での供給を行う際に、自社で供給するか、知識やアイディアのフローとなるライセンシングやアライアンスで行うかという選択について、医薬品産業のデータを用いて検証を行った研究である。国際的な取引の際に各国の知的財産権保護の水準が、国際的な取引費用すなわち貿易費用に与える影響を分析し、保護水準が高い国ではライセンシングの経路が採用される点を明らかにした。 次に、貿易費用を軽減し円滑な貿易を推進する世界貿易機関の紛争処理についての研究である。多様な貿易紛争に対して、整合的な判断を世界貿易機関の紛争処理システムは行っている点に着目し、どういった紛争処理の判決が判例としてその後の紛争で引用されるかを検証した。紛争の法的な重要性のみならず、政治的・経済的に重要な紛争の判決が引用される傾向にある点を明らかにし、国際貿易政策ルールの形成の決定要因を示した。 最初の研究は現在審査中であり、もう一つの研究は当該年度に海外学術雑誌に掲載された。 また、世界貿易機関の役割に関連する研究として、関税と貿易に関する一般協定の28条に基づく関税引き上げが、地球温暖化対策に用いられる炭素税と輸入関税の導入に与える影響を分析した。関税と貿易に関する一般協定の28条が考慮された関税交渉が行われた場合、一方的措置が取られた場合に比べ、温暖化対策の効果を保持しつつ、国際貿易に与える影響を抑えることができる点を明らかにした。この研究は学会で報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
貿易費用に関する研究成果を海外学術雑誌に投稿する事が可能になっている。テキスト分析に用いる機械学習なども取り込んだ研究を行っているが、その研究については未だ中途段階となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
貿易費用に関係する世界貿易機関の役割と影響に関する研究を進める予定である。判決や条文などの分析に用いる機械学習の適用についても進める予定である。
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Causes of Carryover |
出張を行わず研究成果を投稿する事に注力したため旅費の支出が無く次年度使用額が生じた。テキスト分析等に必要なソフト・ハードウェアの整備を追加的に行う予定である。
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