2023 Fiscal Year Research-status Report
Regional differences in women's work and representation in Japan
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22K01531
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
安部 由起子 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (50264742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川 琴乃 北海道大学, 経済学研究院, 助教 (00985335)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 女性 / 学歴 / 正規雇用 / 配偶関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
1982年から2017年(5年毎)の就業構造基本調査の個票データを用い、女性の配偶関係別(有配偶・無配偶)に、学歴別就業率がどのように推移したのかをみた。特に、日本の高学歴女性に働かない傾向がある、ということが2000年くらいまでのデータをもとに指摘されていたが、就業率の学歴差がどのように変化したのかについて検証を試みた。主な結果として以下を得た。第1に、有配偶女性について就業率の学歴差は縮小したが、これは40-54歳の変化による部分が大きい。25-39歳の年齢層については、学歴間の就業率の差は小さい。1982年から2017年の間のどの年度についても、25-39歳の大卒有配偶女性の就業率は、同じ年齢層の高卒有配偶女性のそれとほぼ同水準である年度が多く、前者が後者より低い場合でもその差は2.1パーセンテージポイント未満であった。一方、40-54歳の年齢層については、1992年の大卒有配偶女性の就業率は、高卒有配偶女性の就業率よりも11.3パーセンテージポイント低かった。しかし2017年には、その差が2.5パーセンテージポイントまで縮まった。第2に、正規雇用就業率については、女性の中での学歴差が拡大した。無配偶・有配偶のいずれについても、正規雇用で働く割合(正規雇用者数の人口に対する比率)は1980年代から2010年代まで一貫して、大卒者のほうが高卒者のほうが高かったのだが、近年この差は拡大した。1982年には、有配偶女性の大卒と高卒の正規雇用就業率の差は10.4パーセンテージポイントであったが、2017年にはこの差が19.4パーセンテージポイントまで拡大した。配偶関係については、無配偶女性の就業率が有配偶女性よりも高いが、この差は近年には縮小した。総じて、学歴間の正規雇用就業率の差は拡大したが、配偶関係間の差は縮小したといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
女性就業や女性活躍に関する変化をデータから検証する作業をしているが、これまで結果をまとめることのできたデータは最近のものまでを含んでいない部分も多く、充分な検証ができていないと感じている。そのため、論文投稿する前には、より近年のデータを用いることや、新たに見つけた傾向を複数の異なるデータから確認してからにしたいと考え、査読誌への投稿が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
いくつかのトピックについて、分析方法はある程度めどがついており、一部については集計・分析作業は大部分終了しているので、それらを論文にまとめて投稿することを早めに行ない、フィードバックを得て、よりよい研究につなげていきたい。
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Causes of Carryover |
論文原稿の作成が遅れており、論文の校閲などの費用を今年度までには支出していない。また、地方で女性就業・女性活躍についてのヒアリングを実施したいと考えているが、具体的なヒアリング先を含む実施計画を今年度までに立てることができなかった。
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