2022 Fiscal Year Research-status Report
Hawkes過程と行動経済学に基づいた日本の先物市場における取引時間間隔の研究
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22K01548
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
砂田 洋志 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (90282194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 明宏 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (30312721)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Hawkes過程 / 気配値データ / 行動バイアス / Lasso / 金融リテラシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、金先物市場における取引間隔をHawkes過程を用いて実証分析する研究である。研究代表者は令和4年度を実証研究を実施するための準備期間と定めて、作業を進めた。具体的な作業として、これまでよりも詳細な情報を含むデータを購入した。さらに、MATLABを用いて、データを分析可能なデータへ加工するプログラムを作成して、データを加工した。まだ、改良すべき点や手直しすべき点があるかもしれないので、令和5年度の研究を進める中で引き続き加工方法について検討する予定である。また、当該分野の研究の進行状況を確認するために、国内で開催された学会や研究会に参加して現状を確認した他、本研究に関連する文献を収集して先行研究の理解に努めるとともに、新たな分析上の視点の開拓に努めている。 令和5年から、新しく購入したデータを用いて本格的な実証分析を行う予定である。新しいデータに慣れるために、同データから約定データだけを抜き出し、Hawkes過程を応用する実証分析を行った。その結果は学外の研究報告会で報告された。 研究代表者による上記の作業と並行して、研究分担者は本研究への応用を目指して、行動経済学に関する知見を広めるとともに研究成果を公開している。具体的には、金融広報中央委員会が実施した金融リテラシー調査の個票データを用いて実証分析を行い、金融トラブルへの遭遇と金融リテラシーや行動バイアス・その他の個人属性がどのように関係するかを機械学習を用いて分析した。機械学習における解釈の困難さへの対処、並びに金融トラブルの詳細についてのアンケート調査につなげるためLassoなどによるスパースモデリング分析を利用した。分析の結果得られた知見として、金融リテラシーに関連した質問項目の一部に金融トラブルへの遭遇との関連が低い項目が存在していることがわかった。この研究成果は数理社会学会で報告されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が本課題の研究を進めるには、これまでよりも詳細なデータを利用する必要があった。そこで、令和4年度は新しいデータを購入するとともに、その加工方法について検討した他、加工用のプログラムをMATLABで作成した。購入したデータは予想していたよりもかなり大規模であっただけでなく、情報量が豊富なデータであった。そのため、データの加工に予想以上の時間が必要となり、進捗状況はやや遅れている。 研究分担者は、令和4年度に体調を崩した他、実証分析を行う前のデータ処理に予想以上の時間が必要となった。さらに、令和5年度以降に実施予定のアンケート調査の質問項目の検討に時間がかかり、調査会社への依頼が遅れてしまった。このため、研究分担者の進捗状況もやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者は、令和4年度に新しいデータの加工に取り組んだが、予想外の時間が必要となった。しかし、この作業に1年間取り組んできたことによって、データ加工にかなり慣れてきた。したがって、進捗状況がこれ以上遅れることはないと考えている。令和5年度以降は新しいモデルの開発などに取り組む予定である。また、学会や研究会へ積極的に参加して、他の研究者の研究成果を参考にして、自らの研究を進めていく予定である。 一方、研究分担者が実施予定のアンケート調査であるが、実施の目処が立ち、調査会社と交渉中である。金融リテラシー調査を用いた実証分析であるが、機械学習による分析方法の改善を検討している。また、回答者の中に金融トラブルに遭遇した者が少ないことが原因で研究上の問題が発生している可能性がある。そこで、分析手法の改善を検討している。さらに、今後実施する予定の独自アンケート調査では、金融トラブルに遭遇した者の個票を多めに収集したいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究分担者が18万円余りを令和5年度に繰り越すことになった。研究分担者は、早めに研究成果をまとめて、学会等で報告する予定であったが、体調を崩してしまった。その結果、研究の進行が遅れた上、アンケート調査を調査会社へ依頼するのが遅れた。研究成果は年度末の学会において報告された。また、アンケート調査は実施に向けて調査会社と相談中である。なお、繰り越した資金を、実証分析に用いるパーソナルコンピュータの購入、分析用ソフトウェアの更新に利用する予定である。
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Research Products
(2 results)