2023 Fiscal Year Research-status Report
戦後復興期の企業経営と労働者の生活環境:石炭業の事例
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22K01593
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北澤 満 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (10362261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木庭 俊彦 神奈川大学, 経済学部, 准教授 (10553464)
菊池 美幸 立教大学, 経済学部, 助教 (30878244)
田中 醇 立教大学, 経済学部, 助教 (80908145)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 経営史 |
Outline of Annual Research Achievements |
当年度においては、前年度に引き続き、各地の資料館等において、一次資料等の調査・収集を行った。特に、8月と2月において、研究メンバー合同で北海道調査(星の降る里百年記念館、北海道立図書館、北海道大学附属図書館など)を実施したが、多くの未使用資料が得られ、有意義であった。 昨年度、当年度における収集資料をもとに、研究代表者(北澤)は順次研究発表を重ねている。昨年度中に投稿した「戦後復興期炭鉱経営史研究にむけて」という論文は、大阪経済大学日本経済史研究所編『歴史からみた経済と社会』に所収され、刊行された。同論文では、戦後復興期における「復興」の度合について、各種統計によって計測すると、地域間で大きな差異があることを指摘している。 こうした地域レベルでの差異を前提として、北海道地方(石狩炭田)における炭鉱企業の動向について、具体的な分析に入った。その中間的なまとめについて、経営史学会第59回全国大会自由論題にて、「戦後復興期における炭鉱経営―三菱鉱業株式会社の北海道諸炭鉱を中心に―」というテーマで報告した。北海道地方の他の炭鉱と同様に、三菱鉱業の主力炭鉱である美唄炭鉱も復興が遅れていたが、その度合はさらに大きく、また増産に際しても能率の低下をともなっていたことなどを示した。同炭鉱では、こうした状況において、同時に請負鉱夫を用いた新坑の掘鑿作業を進めており、「統制」解除後も見据えた方針をとっていることも明らかにしており、この点で従来の研究に新たな視点を加えることができた。 研究分担者についてもそれぞれ収集資料を得て、分析を進めているが、現時点では公表にいたっていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定した資料を着実に収集することができており、また予定していた論文刊行、口頭発表が、いずれも行えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者としては、当年度において、前年度に口頭発表した論文について、学会参加者、および研究分担者より提示されたコメントを考慮しつつ、学会誌に投稿することが第一の作業となる。それと併行しつつ、新たに資料調査・収集を進め、研究分担者とも打ち合わせを進めつつ、それぞれに研究発表の準備を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
前年度の未使用額が大きかったため、当該年度はほぼ予定通りの支出をしたものの、若干の次年度使用額が生じた。これらは、主として調査旅費として使用するため、次年度にはほぼ残額が生じないものと考える。
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