2023 Fiscal Year Research-status Report
19世紀フランスにおける河川交通と商業地の形成に関する史的研究
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22K01605
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Research Institution | Osaka Seikei University |
Principal Investigator |
東出 加奈子 大阪成蹊大学, 国際観光学部, 教授 (40709672)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | フランス / 近代 / パリ / 商業史 / 交通 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、パリの都市計画を通してセーヌ河のベルシー港にぶどう酒の倉庫が建設された過程と商業地における活動の実態について、関連研究の史料収集とフランスでの史料調査を実施した。本研究に関連する史料として、フランスに限らず諸外国における都市史や交通史にも視野を広げて収集し、とくに都市における港湾に関する文献が入手できた。また、2023年度は9月にフランスに赴き、主にフランス国立文書館とパリ市歴史図書館において史料を閲覧することができた。これまでの調査により、まず、ベルシー港における港湾労働者のいくつかの組織の就業規則を入手することができた。労働者の人数枠、採用条件、就労時間、休暇、保証などが分かり、詳細に定められていたことが分かった。つぎに、荷揚げされたぶどう酒を保管する倉庫街の地図の調査から、原産地別にそれぞれの倉庫が管理されていたことが分かり、倉庫ではどのような作業が行われていたのか、都市に流通するまでの過程をうかがえる史料が入手できた。これらの史料の分析を進めており、その成果の一部を都市史学会主催の都市史に関する著書の合評会にて評者の一人として「19世紀前半におけるパリ都市史の観点から」のテーマで書評を行った。 本研究が当初に掲げた研究方法を変更する必要がないと考えているが、目的の一つである19世紀なかばに鉄道が建設された以降の商業地に関する調査が実施できていないため、2024年度の課題とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に続き、2023年度もフランスに渡航し、研究テーマに関する一次史料の調査を実施し収集に努めた。文書館や図書館所蔵の史料については、複写や撮影を行い分析を進めている。日本国内においても、入手可能なフランス国立図書館のサイトを利用して史料の収集を行っている。本年度は論文の投稿に向けて執筆を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる2024年度は、研究成果をまとめ、発表していくことが中心となる。 まず、2023年度に収集した史料の分析と検討を行い、調査結果をまとめる。前年度にパリ市行政図書館にも関連する一次史料が存在することが分かったが、フランスでの滞在期間の事情により、調査が実施できなかった。そのため、追加的な収集を要するため、夏季にフランスでの調査を行う予定である。 研究成果の公表は、当初の目標であった学会発表ならびに投稿論文を予定している。具体的には、秋の学会での発表を申請しており、準備を進めている。また、学会誌への論文投稿に向けて執筆を進めている。1本は、都市計画においてベルシーに倉庫を建設するに至った過程を明らかにしたのち、都市拡張によりパリに併合されることになった他の地域の商業地との比較をまとめるものである。もう1本は、河川交通の発展により新たに形成されたベルシーの商業地がどのように機能していたのか、さらに、ぶどう酒が倉庫から都市にどのように流通していったのかをまとめるものである。これらの他、本研究課題に関連する論文として、パリの都市史に関する論文の準備を進める。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、2022年度の14万円を2023年度に繰り越したことによって予算の変更が生じたことがある。また、フランスへの渡航が航空運賃の高騰ならびに円安の状況から、現地調査としての渡航費用を多めに見積もっていたためであった。 今後の使用として、2024年度夏季にフランスでの史料調査を実施し、秋と冬には国内の学会での発表を計画している。
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Research Products
(2 results)