2022 Fiscal Year Research-status Report
The study of MCS to support value creation related to the SDGs
Project/Area Number |
22K01785
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
天王寺谷 達将 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (60709773)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 複数価値の創造 / マテリアルフローコスト会計 / サステナビリティ配慮型研究開発 / 管理会計 / 情報開示 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、環境価値の創造と経済価値の創造の同時実現を促進するマテリアルフローコスト会計と環境価値の創造と経済価値の創造の同時実現を目指すサステナビリティ配慮型製品開発に焦点を当てて、研究を行った。 前者の成果の一つは、天王寺谷達将・篠原阿紀(2023)「複数評価原理の会計としてのマテリアルフローコスト会計」『社会関連会計研究』第34号、79-92頁で、査読論文として公表されている。この論文は、経済価値に環境価値が集約されるマテリアルフローコスト会計の計算上の問題を指摘した上で、経済価値の創造と環境価値の創造を独立した形で追求するためには、環境情報と経済情報を別軸で併存させて環境価値と経済価値の両側面から代替案を比較可能にさせる制度が重要となることを主張し、さらに、そのための表現様式を提示している。また、マテリアルフローコスト会計は、導入されて初めて環境価値と経済価値の同時実現を可能にさせることから導入の局面が重要となる。そこで導入促進策としてのマテリアルフローコスト会計の簡易化についての調査も行った。また、マテリアルフローコスト会計は資源循環を包括できるため、サーキュラーエコノミーにおける役割が期待できる。そこで資源循環におけるマテリアルフローコスト会計の可能性についての調査も行った。 後者の成果の一つは、第35回日本社会関連会計学会全国大会における「サステナビリティ配慮型研究開発情報開示のあり方―先端事例の考察を通じて―」(平澤健嗣・天王寺谷達将)というタイトルの研究報告である。この報告においては、サステナビリティ配慮型研究開発情報の開示の実態を明らかにし、先端事例を考察した上で、価値創造プロセスの情報を充実させるためには、定量情報としてのサステナビリティ配慮型研究開発費額と定性情報としてのその内容に関する情報を紐づけて統合報告書で開示する余地があることなどを主張した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果は、学術論文や学会報告論文として、順調に形になっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、「複数価値を創造する会計」についての理論を構築し、公表することに注力したい。また、それに並行して、複数価値を創造するマネジメントの実践についての情報収集も行いたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
文献調査を中心に進めたため、相対的に実践の調査が減ってしまった。今年度は、前年度できなかった分も含め、実践の調査を充実させる予定である。
|
Research Products
(3 results)