2022 Fiscal Year Research-status Report
会計環境要因がIFRS準拠の会計情報の価値関連性に及ぼす影響度の数値化
Project/Area Number |
22K01799
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
野口 倫央 愛知学院大学, 商学部, 教授 (90632430)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 国際財務報告基準(IFRS) / 価値関連性 / 会計環境要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国際財務報告基準(IFRS)に準拠した会計情報の価値関連性に対して、会計環境要因が及ぼす影響度を数値化することで、会計環境要因と会計情報の関係性を実証的に解明することにある。 2022年度は、この研究プロジェクトの初年度であった。当年度は、のれんに焦点を当てた上で、IFRS準拠の会計情報の特性を、日本基準準拠の会計情報の特性との比較を通じて解明することに重点を置いて研究を行った。その一環として、1編の研究論文(学会誌・査読付き)を公表したほか、国内学会報告を2回行った(全国大会および地方部会)。 これら2022年度における研究からは、①日本においては、IFRSよりも日本基準に準拠することで価値関連性のある会計情報の提供が可能になること、②世界ではのれん減損損失の認識が適時的でないと指摘されているが、日本ではそのような状況は生じていないこと、③世界ではのれん減損損失の計上額の少なさが指摘されているが、日本でも同様に少ない状態であること、④資本市場は、経済的減損が生じているにも拘らず、のれんを十分に減損していないIFRS適用企業の利益情報を割り引いて評価する傾向にあること等を知見として獲得することができた。 これらの知見を、本研究課題との関連から整理するならば、IFRSという共通の会計基準を用いたとしても、均質的な会計情報を提供することは困難であり、会計環境要因が多大な影響を及ぼしているということを指摘できよう。 2022年度は会計情報と会計環境要因の関係性を間接的に指摘することができた。今後は、会計環境要因の特定と、その要因が会計情報の価値関連性に及ぼす影響を具体的に明らかにする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は、先行研究を網羅的にレビューし、会計環境要因を体系的に整理することを予定していた。先行研究のレビューは概ね完了しているものの、先行研究で指摘されている会計環境要因が広範囲であるがゆえに、その整理に時間を要しており、当初の予定より遅れているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
先行研究で指摘されている会計環境要因を適切に整理したうえで、実証分析に適応可能なように指標化等を実施する。 またグローバルな財務データを扱うため、適切な分析結果を得るためには、様々な統計的処理を行う必要がある。その処理を熟考することも今後の大きな課題の一つである。
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Causes of Carryover |
2022年度は、新型コロナウイルス感染症の影響が残っており、国内外の学会や研究会への参加が制限された。2023年度以降は、学会や研究会も対面での開催が予想されるため、積極的に参加し、活発な研究活動を展開したい。
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