2022 Fiscal Year Research-status Report
自営業・テレワークとジェンダー:男女の働き方、家事育児、生活時間に着目して
Project/Area Number |
22K01854
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
不破 麻紀子 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (40451877)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ジェンダー / 自営業 / テレワーク / 家事労働 / 生活時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、女性の就業と家庭責任の二重負担を、仕事における自由裁量が大きいとされる自営業・テレワークに焦点を当てて分析し、日本における労働のジェンダー不平等およびワーク・ライフ・バランスの困難のメカニズムを明らかにすることである。そのために、自営業者の働き方や家事・育児労働・生活時間を、雇用者との比較から検討している。また、就業・家事・生活時間に関する調査データ(2017年全国就業実態パネル調査、2013年新規開業実態調査・特別調査及び働き方の変化とライフコースに関する全国調査とオンライン特別調査)を用いて、テレワークを含む就業のあり方と家事・生活時間の男女差を分析している。2022年度は、自営業及び雇用者の物理的・管理的裁量と働き方・家事育児・生活時間との関連の検討を行った。また、自営業及び雇用者女性のキャリア経路や労働 時間・収入・ジェンダー意識等の要因と家事労働との関連を検討する研究を行った。 2022年度の研究成果は国際学会・学術雑誌・シンポジウム等において報告を行った。東京大学社会科学研究所が実施しているパネル調査のオンライン特別調査データ(2020年)を用いた研究として、自宅におけるテレワーク場所の男女差について分析し、就業の場としての家庭を検討することの重要性が示された。研究成果はアメリカ社会学会大会(2022年8月)において報告した。この他、「格差の連鎖・蓄積モデルからみたライフコースと不平等に関する総合的研究」プロジェクト研究会に参加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は初年度にあたるため、まず先行研究の整理・検討を行った。使用する就業実態調査と社研パネル調査データ等の整理・分析についてもおおむね計画通り行うことができ、順調に進展しているといえる。また、国際学会報告等では、特に他国における研究状況や関連する研究についての助言を得ることができ、研究をより発展させることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、2022年度の基礎的な分析を踏まえて本格的な分析を行い、研究成果を国際学会及び国内学会大会にて報告する予定である。この他、2023年度は国際学術雑誌への投稿を目指し、女性のワーク・ライフ・バランス環境と家事労働に関する国際共同研究を進める。2023年度後期から、アメリカの研究者と国際共同研究を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度は学会大会の多くがオンラインで開催された。また、共同研究のための予備的な打ち合わせもオンライン会議で行ったため、旅費支出を大幅に抑えることができた。2023年度は、複数の国際学会、国内学会が対面での開催を予定しており、繰り越し分を使用する予定である。また、アメリカの研究者との国際共同研究を予定しており、研究会開催経費等にも使用する予定である。
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