2023 Fiscal Year Research-status Report
犯罪報道におけるジェンダー問題に関する実証的研究(2)
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22K01857
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Research Institution | Miyazaki Municipal University |
Principal Investigator |
戸高 由美 (四方由美) 宮崎公立大学, 人文学部, 教授 (10316200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北出 真紀恵 東海学園大学, 人文学部, 教授 (10410862)
大谷 奈緒子 東洋大学, 社会学部, 教授 (50364716)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 犯罪報道 / ジェンダー / ジャーナリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
5年間で計画している本研究「犯罪報道におけるジェンダー問題に関する実証的研究(2)」(2022年度~2026年度)は、「犯罪報道とジェンダー研究会」を組織し、犯罪報道をめぐって、報道された内容の分析(内容分析)、報道内容を読者・視聴者がどのように受容しているか(受け手研究)、記者たちを取り巻く状況はどのようなものか(送り手研究)の3つの視点から総合的なアプローチを行っている。前年度に本研究の課題、研究対象と方法について検討を行ったことを受けて、2023年度は次の通り研究を進めた。 内容分析については、従来のマスメディアに加えてインターネットを介した情報の広がりに着目する必要があり、そのために報道される事件や出来事としてどのようなトピックを選定するか再度検討を行った。その結果、警察発表に基づく事件報道だけでなく週刊誌報道に端を発するケース、SNS等において被害者自ら告発するケースはどのような報道がなされているかなども射程に入れた研究を行うこととし事件の選定を行った。その中には、いわゆる故ジャニー喜多川氏による性加害問題のように「男性への性加害」も含まれる。 受け手研究は、web調査「マスコミ報道についての意識調査」(2024年2月、1000件)を行った。受け手のメディア利用状況性犯罪事件と幼児虐待事件のマスコミ報道についての意見を尋ねるなどして、ジェンダー問題に関するマスコミ報道への受け手の意識を探るものである。 送り手研究は、2024年度に実施予定の送り手インタビュー調査に向けて、前研究「犯罪報道におけるジェンダー問題に関する実証的研究」(2016年度~2021年度)から導出された課題を整理し、論文「送り手たちの犯罪報道(1)ー揺らぐ「実名報道」ー」として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、犯罪報道をめぐって、報道された内容の分析(内容分析)、報道内容を読者・視聴者がどのように受容しているか(受け手研究)、記者たちを取り巻く状況はどのようなものか(送り手研究)の3つの視点から総合的なアプローチを行っている。 2022年度は、これまでの研究について論文「犯罪報道とジェンダーの視点 ネット時代に手掛かりあるか」にまとめ、本研究がアプローチする対象や方法について検討を行った。 2023年度は次のとおりである。内容分析については、従来のマスメディアに加えてインターネットを介した情報の広がりに着目する必要があり、そのために報道される事件や出来事としてどのようなトピックを選定するか再度検討を行った。受け手調査として、web調査「マスコミ報道についての意識調査」(2024年2月、1000件)を実施した。送り手研究は、2024年度に行うインタビュー調査の準備として、前研究「犯罪報道におけるジェンダー問題に関する実証的研究」(2016年度~2021年度)から導出された課題を整理し、論文「送り手たちの犯罪報道(1)ー揺らぐ「実名報道」ー」として公表した。 以上の進捗状況から、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
内容分析は、引き続き分析対象の記事収集を続けながら、トピック別に分析を行う。また、筆者らが継続して行ってきた内容分析の結果と比較し近年の傾向等の考察を行う。 受け手調査は、2023年度に実施した調査「マスコミ報道についての意識調査」(2024年2月、1000件)の結果の分析を行う。 送り手調査は、2023年度にインタビュー調査の準備として行った課題導出を踏まえて、インタビュー調査を実施する。 これらの研究成果は、できる限り論文等にて公表することを試みる。
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Causes of Carryover |
研究代表者の本務地である宮崎県宮崎市で1回、東京都文京区で2回予定していた対面での研究会を東京都文京区で1回しか開催することができなかったため、計上していた交通費に残額が生じた。代替措置としてオンラインによる研究会を2回、また、愛知県名古屋市において1回、宮崎県宮崎市において1回、それぞれ個別に共同研究者間の打ち合わせを行った。 次年度については、対面での研究会のほか計画しているインタビュー調査を行うため、同様の費目(交通費)において使用する予定である。
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