2022 Fiscal Year Research-status Report
生きづらさと社会的承認に関する社会学研究~多様な表現と他者からの共感を通して
Project/Area Number |
22K01869
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Research Institution | Kyoto University of the Arts |
Principal Investigator |
藤澤 三佳 京都芸術大学, 芸術学部, 教授 (00259425)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 生きづらさ / 自己表現 / 社会的承認 / 精神科病院 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、表現系活動の調査及び、「社会的承認」を失う体験をどのようにもつにいたるのか、またそこからどのように解放され状況が改善されていくのかというプロセスを知るために、人々の生活史初期に長時間を過ごす家族や学校の問題を中心に、児童虐待、いじめ、ひきこもり等の問題に関して調査をおこなった。 具体的には、東京都八王子近郊のH精神科病院外来作業療法科のメンバーに対して、東京都精神科病院協会主催の展覧会、H精神科病院主催の展覧会、その他の関東の展覧会時を利用して「社会的承認」を失った体験、逆に社会的関係を通して再び「社会的承認」を得るという体験に関して調査をおこなった。 従来の研究では、ことばでの意味づけや言語的表現がデータとして用いられるが、人々が「社会的承認」を失う体験をもった場合、しばしば言語的表現や意味づけが困難な場合が多く存在していることから、言語以外のさまざまな表現も含めて総合的な研究をおこなった。 調査結果は、家族からの被虐待体験をもつ統合失調症、双極性障害、解離性同一性障害の患者を中心に、言語以外の表現行為をおこなうなかで、仲間との社会的関係や施設のボランティアとの人間関係、展覧会時の鑑賞者との関係からもたらされる「社会的承認」に関して、描画テスト・描画療法学会において「精神科病院患者の自己表現としての絵画」という題で研究報告をおこなった。 さらに現在、その調査結果を、来年度4月出版予定の『生のアート』に載せる論文として執筆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初はコロナ禍のため、所属大学の科研出張が許可されておらず、5月になってから許可された。また、精神科病院への調査を予定していたが、やはりコロナ状況があり、感染防止のため調査やボランティアを断られる病院がほとんどであった。 そのため、研究の進捗状況を心配していたが、その代替として、精神科病院の展覧会時の機会を利用して調査をおこなった。そのため、必要なインタビュー調査をおこなうことができて、描画テスト・描画療法学会における学会報告も可能となり、研究計画の進捗状況としてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の推進方策に関しては、申請書に記述したように、児童虐待、DVによる被害、障害、疾病、貧困、社会的排除等により、「生きづらさ」を抱えた人々が、その体験をどのように意味づけ他者との関わりのなかで解放されていくかという過程を調査し研究を進めていく予定である。 初年度におこなった表現系の調査に加えて、不登校、ひきこもり、非行の領域における「社会的承認」を失った過程、逆に「社会的承認」を獲得していく過程に関して、生活史調査を中心に詳細に調査していく予定である。
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Research Products
(1 results)