2022 Fiscal Year Research-status Report
「マルチタスクとしての家事・育児時間」に関する実証的研究
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22K01913
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
平井 太規 立教大学, コミュニティ福祉学部, 助教 (10710270)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マルチタスク / 家事・育児 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、マルチタスクの家事・育児動向の学会発表を数回行った。それらの発表では、社会生活基本調査の政府統計匿名データ(2016年)を用いて、末子6歳未満の子育て世帯を対象に、夫婦の家事・育児時間におけるマルチタスクの動向の基礎的な分析結果を公表した。概要は以下の通りである。(1)家事関連行動を1分以上行っている夫妻の中で、マルチタスクとしての家事関連時間と割合(主行動のみの家事関連時間のうち、マルチタスクとしての家事関連が占める割合)はいずれも妻の方が多い/大きい。ただでさえ妻の家事関連時間が圧倒的に長い上に、その中に占めるマルチタスクも多いことから統計で公表されている以上に妻の身体的・心理的負担があるのではないか。(2)夫は1週間の就業時間が長くなるほど、マルチタスクの時間と割合がともに上昇する傾向が一部でみられた。時間が限られる中で、家事関連をマルチタスクとして行っているようにも見える。(3)妻は子どもが成長するとともに、また1週間の就業時間が長くなるにつれてマルチタスクとして行う家事関連の時間と割合が多くなる/大きくなる(高学歴になるほどマルチタスクの時間と割合も増加傾向だが、高学歴層ほど仕事時間が正規雇用である可能性が高まり、仕事時間が長くなることに起因していると思われる)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に必要なデータ使用のための申請作業や研究環境整備に時間を要したものの、分析自体には本格的に取り組めており、その基礎的な成果については学会発表できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は研究初年度であったことから研究成果はあまり出ていないものの、現在査読付きの論文に投稿中であり、2023年度内の掲載が見込まれる。また、2023年度には国際学会での発表も予定しており、合わせて別ジャーナルへの論文投稿も予定している。
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Causes of Carryover |
2022年度内に次年度の所属先変更が決定したため、一部の物品購入を翌年度以降に持ち越したことや、新型コロナの影響で参加予定であった国内外の学会がオンライン開催により旅費の使用がなかったためである。2023年度は、統計分析ソフト(SPSSおよびStataなど)の購入、データ管理用のキャビネット購入などに使用する予定がある他、本研究に関連する国内外の学会がおおむね対面にて現地開催される予定のため、その旅費等に使用する計画である。
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