2022 Fiscal Year Research-status Report
The Global Child Rights Dialogue during COVID-19; multi-country action research
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22K01994
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
武内 一 佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (30552806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長瀬 正子 佛教大学, 社会福祉学部, 准教授 (20442296)
小林 美津江 佛教大学, 公私立大学の部局等, 非常勤講師 (20892657)
朴 光駿 佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (30351307)
田中 智子 佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (60413415)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 子どもの権利条約 / 新型コロナウイルス感染症 / 子ども参加型研究 / 権利対話 / 海外との比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
子どもの権利条約(CRC)に掲げられた権利は、子どもたちからみると様々な侵害を受けていて、COVID-19パンデミックによりさらに侵害されている可能性がある。そうした現状を、CRCの各条文への子どもたち自身による対話から明らかにして、子どもたちが社会や政治へ意見を発信することを目的として、グローバル子どもの権利対話(GCRD)を実施している。 日本で15チームによってGCRDが合計30回実施され、報告書が作成された。韓国でも実施された11チーム22回のGCRDの報告書が作成され、スウェーデンでは6チーム12回の権利対話を実施し中間報告が出ている。研究成果は、2023年3月12日の近畿小児科学会の一般演題として、国内実施分に関する口演を行なった。また、2023年4月15日の日本小児科学会学術集会でも口演で、韓国とスウェーデンを含む3か国でのGCRD実施状況とその結果に関する中間報告を行なった。 例えば2条「誰も差別されない権利」に関して、それが守られていない状況として「男女差別」「コロナ差別」「年齢による差別」「外国人差別」「性的マイノリティーへの差別」があるとし、子どもたちはそれをなくすための4つの政策提言を行った。また、12条「意見表明権」に関して、日本では、校則の決め方、離婚した際の子どもの親との暮らし方の意見表明について、提案があった。また、弱い立場の子どもが意見を最後まで言えて聞いてもらえる、選挙できない子どもが何か別の方法で意見を言える、が提案された。一方、2020年からすべての国内法を子どもの権利条約に適合させた最初の国がスウェーデンの子どもたちは、「声を上げたり特定のメッセージを政府に広める必要性を感じない」と結論づけていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
この取り組みの前提として、2019年に世界35か国で実施された「グローバル子どもの権利対話(GCRD)」がある。その取り組みに日本から参加した経験から、コロナ禍における同様の取り組みを企画した。したがって、すでに必要な書類は英文で完備されており、日本やスウェーデンなどでは倫理審査書類を指定された書式に合わせて記載し、これら書類を添付することで倫理審査でのやり取りはスムーズであった。しかし、タンザニアでは倫理審査に半年以上と予想を遥かに超える時間を要している。その理由として、タンザニアにおける研究協力者の所属する大学の倫理審査が、倫理面に留まらず、研究内容に踏み込んで詳細な説明を繰り返し求めている点が挙げられる。その都度、当該研究協力者と文書交換、あるいはZoom面接を実施して、対処してきている。 倫理審査が通れば、すでにGCRD実施の準備は整っており、2023年度の早い段階で実施できる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、タンザニアでのGCRDの実施を急ぐと共に、10チームで20回以上GCRDを実施し、各国の比較を行う予定である。そのために、スウェーデンにおいては必要回数を2023年度内に実施していく。国内では30回のGCRD実施実績があるが、さらに回数を加える予定である。そして、各条文に対する話し合いすべてを文字に置き換えて、対話内容に対して質的分析を行う予定である。 そうした本プロジェクトの成果は、引き続き学会にて発表し、論文としてまとめるとともに子どもたちにも理解しやすい形で子どもたちの権利の話し合いの中で出された、子どもたちからの提案を冊子にまとめて公開することを考えている。
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Causes of Carryover |
一部計画通りに研究が進まず、遅れが生じているため。
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