2022 Fiscal Year Research-status Report
ATR-FT/IR法による汚れ成分の洗浄評価法の確立と洗浄配合剤の洗浄機構の解明
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22K02122
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
葛原 亜起夫 東京家政大学, 家政学部, 教授 (00813916)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ATR-FT/IR法 / 人工汚染布 / 油性汚れ / タンパク質汚れ / 綿繊維深さ方向 |
Outline of Annual Research Achievements |
計画初年度として、以下に示す検討を行った。 ATR-FT/IR法を用いることにより、繊維の深さ方向に対する各種汚れ成分の付着量を究明することを目的として、屈折率の異なるGeプリズムとZnSeプリズムを使用し、洗濯用石けんで洗浄した湿式人工汚染布のATR-FT/IRスペクトルから算出した各種汚れ成分の洗浄力を比較し、綿繊維深さ方向に対する各種汚れ成分付着量について解明を行った。 ①屈折率の異なるGeプリズムとZnSeプリズムを使用した測定系の精緻化を行った結果、ZnSeプリズムを使用した測定系においても、Geプリズムと同様に、湿式人工汚染布(綿布)の同一表面に付着した油性汚れ成分、およびタンパク質汚れ成分を直接的かつ同時に定量可能であることを確認した。 ②油性汚れ成分、およびタンパク質汚れ成分ともに、洗浄時間が長くなるにつれて洗浄率が増加し、Geプリズムの洗浄率がZnSeプリズムに比較して高い値を示したことから、より表面近傍における汚れは(0.22 μm以内)、繊維内(0.66 μm以内)に比較して除去されている可能性を見出した。また、洗浄時間を長くしても、ZnSeプリズムの洗浄率が低い値を示したことから、繊維内部の汚れは極表面に比較して除去され難い可能性が示唆された。 ③本科学研究費で購入したFTIR装置により、窒素ガス雰囲気下における測定条件を検討した結果、湿式人工汚染布、及び綿原白布のATR-FT/IRスペクトルが得られることを確認した。本装置を用いた湿式人工汚染布表面に付着した油性汚れ、およびタンパク質汚れ成分の定量化の検討は令和5年度に継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要(上記)に示したとおり、計画初年度である令和4年度は、所期の目標をほぼ計画通りに達成したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
計画の次年度として以下の検討を行う。 1. 繊維素材の異なる人工汚染布に付着した各種汚れ成分の新規洗浄評価法の確立を目指し、第二段階として、綿布帛だけではなく、ポリエステル人工汚染布を用いた各種汚れ成分の新規洗浄評価法の精緻化を行う。洗浄時間を変化させ、洗濯用石けんで洗浄した綿布帛、ポリエステル布帛に付着した油性汚れ成分の洗浄率を算出し、両者の洗浄性の比較を実施する。表面特性解析に優れるATR-FT/IR法を用いることにより、人工汚染布の同一表面上に付着した油性汚れ成分の直接定量分析が可能と期待される。ここで、人工汚染布として、すす、オリーブ油が付着したオランダCFT社製人工汚染布(ポリエステル、綿)を使用することにより、各種洗浄配合剤による各種汚れ成分の洗浄性の究明に繋げていく。 2. 本科学研究費で購入したFT/IR装置を用いた湿式人工汚染布表面に付着した油性汚れ、およびタンパク質汚れ成分の定量化の検討を行う。ここで、湿式人工汚染布の同一表面上に付着した油性汚れ成分、及びタンパク質汚れ成分の同時かつ直接的に分離する定量分析を行い、すすぎ工程時のアルカリ電解水有無における粉末石けんの洗浄効果の究明を進める。
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Causes of Carryover |
半導体不足の影響により、FT/IR装置の導入が予定より遅れたため、窒素ガスの使用が進まず、差額が発生した。次年度の消耗品として使用することを計画している。
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