2022 Fiscal Year Research-status Report
SARS-CoV-2受容体を阻害する農作物の網羅的解析とウィズコロナ時代の調理法
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22K02138
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
松本 雄一 佐賀大学, 農学部, 講師 (80538265)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ニコチアナミン / アンジオテンシン変換酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,マメ科野菜に着目し,種ごとのニコチアナミン含量とACE阻害率を比較した.また,調理後の含量と阻害率を調査し,調理前後での比較を行った.マメ科野菜の種ごとで比較すると,ダイズのニコチアナミン含量が乾燥重量100gあたり30.52mgで最も高く,次いでエダマメが高かった.エダマメは作型が広いため,作型による差がある可能性が考えられたが,本研究では含量に作型間の差がなかった.アピオス,ムクナ,ヒカマについてはニコチアナミン含量が調査されておらず,本研究が初の報告となる.アピオスとムクナは含量が高く,エダマメと同程度であったことから,ニコチアナミンの供給源としての可能性が期待される.各マメ科野菜では,調理前と比較して調理後はニコチアナミンが減少する傾向がみられ,特に浸漬後に煮熟したダイズやアズキ,ムクナで80%以上減少していた.エダマメにおいては煮熟時間が長いほど,煮汁にニコチアナミンが溶出していた.ダイズにおいて浸漬時にニコチアナミンが溶出しないという報告があることから,本研究では煮熟過程でニコチアナミンが溶出したと考えられた.ACE阻害率は調理前のマメ科野菜で50~80%と高かったが,調理後ではダイズで30%以上も低下するなど,全体的に阻害率が低下する傾向がみられた.ムクナにおいては調理前後で阻害率が変わらず,ニコチアナミン以外のACE阻害物質の影響が考えられた. 今回の研究から,マメ科野菜の中でもダイズやエダマメ,アピオスのニコチアナミン含量が高いことが明らかになった.また,調理後はニコチアナミンが減少する傾向があったが,調理後であってもニコチアナミンを一定量有していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マメ科作物について新たな知見も含め、栽培から調理・加工までの状況を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
マメ科野菜については加工時の時間や条件による推移・影響などの詳細について、またその他のキク科・ウリ科野菜など高ニコチアナミン含量が期待できる品目についても調査を進める。ACE阻害に加えACE2阻害活性についても分析を行う。
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Causes of Carryover |
残存する資材を優先的に用い栽培等を行った。次年度の栽培および実験において本助成金を中心に消耗品や必要となる機器の購入を行う。
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