2022 Fiscal Year Research-status Report
Glycoprotein mucin as a detergent
Project/Area Number |
22K02195
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Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
酒井 洋 小山工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (90310648)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ムチン / 洗剤 / 界面活性剤 / 糖タンパク質 / 洗浄 / 表面張力 / ドデシル硫酸ナトリウム / 塩化ナトリウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ムチンを洗剤の成分として利用することを目指す。ムチンは両親媒性分子であるため、そのままで界面活性剤の代替物となる可能性があり、また、既存の界面活性剤と混合させることで、その機能を増大させることが期待されるが、ムチンの洗剤利用のためには、ムチンの界面化学的性質を明らかにすることが必要である。 そこで今年度は、まず精製ブタ胃由来ムチン水溶液の表面張力の測定を行った。ムチンの濃度を高くするにつれて表面張力は低下したが、0.75 mg/L以上の濃度ではほぼ一定の値となった。また、表面張力はゆっくりと低下し、平衡に達するのには20時間以上の時間を必要とした。 次に、ムチン水溶液にアニオン性界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を加えて、同様に表面張力の測定を行ったところ、SDSを加えることで、大幅に表面張力が低下した。ムチンのみが含まれる水溶液の場合、ムチンの濃度が0.5 mg/Lで表面張力は50 mN/m程度であったが、SDSを2 mMとなるように加えた場合、ムチンのみ、さらにはSDSのみで到達できる表面張力よりも低い値である30 mN/m程度まで低下した。ムチンと界面活性剤の相乗効果によるものと考えられる。また、この場合でも表面張力は時間とともにゆっくりと低下した。 次に、ムチン水溶液に塩化ナトリウムを加えて、同様に表面張力の測定を行った。塩化ナトリウムの濃度を100 mMとした場合、表面張力は50 mN/m程度であったが、平衡に達するまでの時間が大幅に短縮され、1時間程度で一定の値となった。 そして、ムチン水溶液に塩化ナトリウムとSDSの両方を加えることで、表面張力の大幅な低下と、変更に達するまでの時間の短縮の両方を達成できることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ムチン水溶液、ムチンと界面活性剤等の混合水溶液の表面張力を測定することで、ムチンの界面化学的な性質の一端を明らかにすることが出来た。本研究課題の最終的な目的である洗剤としての利用に向けた知見をある程度得ることが出来たと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ムチンの表面張力については、もう少し条件を変えた測定を行う。混合物の種類、pH、温度などをパラメータとすることを検討している。また、ムチン自体の分子の構造を変化させることも検討する。 また、その他分光学的な手法を使い、界面に集まる分子の挙動についての知見を得、さらに洗浄実験を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画を見直した結果、今年度使用した試薬が価格が安いものとなったため、次年度使用額が生じたが、当該助成金と翌年度の助成金と合わせて、研究に必要な広範囲の試薬を購入することを計画している。
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