2023 Fiscal Year Research-status Report
Glycoprotein mucin as a detergent
Project/Area Number |
22K02195
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Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
酒井 洋 小山工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (90310648)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ムチン / 洗剤 / 界面活性剤 / 糖タンパク質 / 洗浄 / 表面張力 / ドデシル硫酸ナトリウム / 炭酸ナトリウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ムチンを洗剤の成分として利用することを目指す。ムチンは両親媒性分子であるため、そのままで界面活性剤の代替物となる可能性があり、また、既存の界面活性剤と混合させることで、その機能を増大させることが期待されるが、ムチンの洗剤利用のためには、ムチンの界面化学的性質を明らかにすることが必要である。 今年度は、ムチン水溶液に非イオン性性界面活性剤であるポリエチレングリコールモノドデシルエーテルを加えて、表面張力の測定を行った。ムチン単体の場合と比較して表面張力はさらに低下したが、アニオン性のドデシル硫酸ナトリウムと比べるとその影響は小さかった。この場合でも水溶液にさらに塩化ナトリウムを加えることで、表面張力の大幅な低下と、変更に達するまでの時間の短縮の両方を達成できることが明らかとなった。 次に、ムチンの分子構造を変化させてその界面化学的な性質を調べた。ムチンの分子構造を変化させることを目的として、ムチンの加熱と酵素分解を行い、その溶液の接触角を測定したところ、未加工のムチン比べて接触角の低下がみられた。これはムチンを加工することでその溶液の濡れ性をより高めることができることを示している。 最後に、ムチンと界面活性剤と無機塩が含まれる溶液を用いて人工汚染布の洗浄実験を行った。その結果、油汚れ成分には十分な洗浄力を示したが、粒子汚れについてはそれほど高い洗浄力を持たないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ムチンと界面活性剤との相互作用、ムチンの加工が界面化学的性質に与える影響、ムチン水溶液の洗浄力の性質の一端を明らかにすることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ムチンの洗浄力をさらに高めることを目的とし、添加物とムチン自体の加工の両面からアプローチを行い、最終的にムチンを洗剤として利用するための知見を得ることを目指す。 加えて、洗浄において重要なファクターとなるその他の界面化学的な性質の解明も進める予定である。
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Causes of Carryover |
年度途中で研究計画を見直した結果、研究遂行内容の順番を変更したため、次年度使用額が生じたが、当該助成金と翌年度の助成金と合わせて、研究に必要な器具と試薬を購入することを計画している。
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