2023 Fiscal Year Research-status Report
米国の言語的多様化に対応した教員養成・資格認定制度の研究-言語権の観点からー
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22K02278
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
小野瀬 善行 宇都宮大学, 共同教育学部, 准教授 (50457735)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 教員資格認定制度 / アメリカ合衆国 / 教員不足 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究目的に沿うように、アメリカ合衆国における政策動向を確認した。現在アメリカでは、深刻な教員不足に対応するため、連邦政府が各国政府に様々な呼びかけを行っている。具体的には、教職にアプレンティス制度を確立すること、成果をしっかり検証したレジデンシー・プログラムに予算をつけること、学費免除や奉仕奨学金プログラムを確立・拡大すること、教員に対する補償を手厚くすること、以上の取組である。このうち、アプレンティス制度とは、見習い(apprenticeship)として雇用主から賃金をもらいながら、実際の職場でその職業に関する知識を学び、スキルや資格の取得につなげることを目的とする制度である。さらに教員レジデントや学校を支援する大学の教員養成課程(EPP=Education Preparation Program)と学校区の連携を増やすこと、教員養成に対して様々な関与を広めていくこと、以上を呼びかけている。教員レジデントは、学校現場での経験の一部として、学校において実際に代用教員(substitute)、助手(paraprofessional)、指導員(tutor)として勤務をしながら、正規の資格認定にその経験を用いることができるとされている。そして最後に、教員レジデンシー・プログラムの拡大である。教員レジデンシー・プログラムは、学校区が大学等と連携をしながら教員養成を行う仕組みである。 このようにアメリカでは、連邦政府、州、そして学校区レベルにおいて様々な教員不足に対応するための施策が展開されている。これらの施策は、教職志望者に対する経済的な支援、教員免許制度改革、多様な教員養成ルートの確保、そして離職防止策、以上の4つに分類されること確認することができた。 あわせて上記の具体的な状況について調査をすべくテキサス州ヒューストン大学に訪問調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス(COVID-19)の直接的な影響は薄れたものの、パンデミック後にさらに教員不足の状況が悪化し、改めてアメリカ合衆国における教員施策について再検討を余儀なくされたため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、アメリカ合衆国における教員不足の状況が言語マイノリティ(言語権に課題のある人々)の教育にどのような影響を及ぼしたのかについて、どのような施策が実施されているのか、具体的に現場においてはどのような影響が出ているのかについて調査を行う。調査については、これまでの研究上の蓄積があるテキサス州を予定している。 その結果について学会発表や論文投稿を行う。
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Causes of Carryover |
調査の進行状況に書いたように一部の調査ができずに旅費として計上していた予算が繰り越されてしまった。最終年度においては適切に旅費として執行して全額を執行する予定である。
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