2022 Fiscal Year Research-status Report
公民館創設・普及期の施設設置形態と地域の教育文化に関する研究
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22K02292
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
田所 祐史 京都府立大学, 公共政策学部, 准教授 (40772140)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 公民館 / 社会教育施設 / 設置形態 / セツルメント / 寺中作雄 / 教育史 / 地域文化 / 文化国家 |
Outline of Annual Research Achievements |
公民館創設・普及期の施設設置形態についての都道府県別調査は、山口県、和歌山県(田辺)、東京都(昭島)、富山県(南砺)ほかにて実施した。遠方の道府県が未調査であり、感染拡大予防対策状況をみながらの日程確保に困難があった。しかし、これまでに調査した都府県を含め、史資料の整理分析も併せて行い、岡山、山口など中国地方の公民館について、「憲法施行記念公民館」の観点からまとめた。四国や和歌山などのまとめも進めている。また、建築学領域で論じられた公共建築・地域集会施設としての公民館についての史資料の収集・分析も実施した。 各都道府県の教育委員会編纂の教育史や公民館周年記念誌、地方新聞、教育行政機関誌などにあたり、公民館構想の受容とその政策化、実際の動向を、営造物としての施設平面図や当時の施設空間機能説明資料等もおさえながら整理分析しているところである。 地域の教育文化に関する研究は、初年度にあたる2022年度は、基本文献の確認・整理の段階であった。地域文化研究会への参加、社会教育研究全国集会の地域文化分科会・現地世話人の活動(泉南・紀州方面の地域文化)、大阪教育文化センター「地域と教育・文化研究会」における学童保育を中心とした子どもの教育文化活動把握などの活動に参加するとともに、公民館創設・普及期における「文化国家・平和国家」言説や地域での文化祭開催などの史資料を収集し始めている。 2023年5月段階では、移動や図書館利用等の制限が緩和乃至撤廃されている状況であることから、施設設置形態調査、地域の教育文化調査のいずれも、今後現地調査を精力的に進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
感染拡大予防の観点から図書館等での史資料調査が困難であったが、これまで収集した史料の整理分析を進め、未調査の道府県の入手可能な文献資料などで予備調査を進めることができた。相当量のデータ等を収集できた中国地方・四国地方について一定の分析作業も進み、今後全国規模の分析につなげていく足がかりができたため。また、再調査や都道府県レベルから基礎自治体レベルへ焦点化して調査を深める方針や実際の調査も進めつつあり、よりきめ細かな事例発掘と検証も進めているところである。 地域文化関係についても、基本文献・先行研究の収集や講読を進めており、おおむね順調に進展しているといえる。地域文化研究会、地域と教育・文化の研究会、社会教育研究全国集会の地域文化分科会などでの研究活動、『月刊社会教育』編集長の活動等を通じて、和歌山、大阪、福岡ほか、各地の教育文化活動関係者との接点も生まれ、次年度以降の調査研究の展望も開きつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
公民館創設・普及期の調査については、北海道、栃木、群馬、埼玉、東京、神奈川、静岡、愛知、滋賀、京都、奈良、大阪、福岡、熊本、宮崎、鹿児島、沖縄の都道府県の、初調査または再調査を進めていく。あわせて、寺中作雄、鈴木健次郎、小和田武紀などの人物別の分析にも幅を広げ、中央・文部行政における施設主義政策形成についても考察したい。これまでに収集した史資料の整理・分析とまとめを進めていく予定である。 北九州市の都市型公民館、岡山の県立公民館、香川県小豆島における公民館と演劇活動など、ピンポイントで各地の施設史・実践史を取り上げる計画も進めていきたい。 地域の教育文化については、現代社会における諸実践にふれて調査研究の足掛かりを得るとともに、「文化国家」など占領期以降の「文化」の言説や、文化祭企画実施等の地域実践の実相に関する史資料収集に努める。 また、京都府内の公民館を対象にした悉皆調査を企画実施するために、京都府公民館連絡協議会や京都府教育委員会社会教育課にどのような形で協力などが可能か否か、打診・相談を始めている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大予防対策で、各地の図書館・公文書館の利用制限が続いたことや、移動を自粛せざるを得なかったこと、本務校における教育・指導業務や『月刊社会教育』編集委員会編集長として担う業務の関係で、調査出張日程を組むことが困難だったため、出張機会が大幅に減ったことに伴って次年度使用額が生じた。 2023年度は、各地の図書館・公文書館が通常開館となる見通しがある。また、本務校においてサバティカルとなり、史資料収集や調査研究に費やすことができる時間が大幅に増えるため、各地への出張が可能になり旅費支出機会が増大する。それらに加えて、史資料整理・保管等のためのパソコン購入による機器類の環境の整備、教育文化や歴史関連の文献購入などで物品費支出が増加する予定である。
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Research Products
(4 results)