2023 Fiscal Year Research-status Report
幼児期における数への自発的焦点化に関する尺度開発と家庭環境の検討
Project/Area Number |
22K02435
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉村 伸一郎 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (40235891)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 数能力 / SFON / 数への自発的焦点化 / 尺度開発 / 幼児期 / 家庭環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
子どもの数能力の発達の個人差を説明する要因の一つに,数への自発的な焦点化 (Spontaneous Focusing on Numerosity) がある。先行研究では模倣課題をはじめとする多種多様なSFON課題が対面で実施されてきたが,課題によって評価される側面が異なり,多人数への実施が困難,という問題がある。そこで本研究では,幼児の日常生活を幅広く捉えたSFON尺度を開発することを目的とし,今年度は以下の2つの研究を実施した。 まず,昨年度作成したSFON尺度では,一部の下位尺度の項目数が少なくなったため,8項目を新規に作成するとともに,3項目に修正を加え,3歳から6歳の子ども237名を対象に実施し,因子分析を行った。次に,新たに作成したSFON尺度の得点と従来のSFON課題の得点との相関を算出し,SFON尺度で測定している内容を検討した。具体的には,下記の研究を実施した。 対象は4歳児と5歳児の子ども100名とその保護者であった。子どもには,4つのSFON課題と数理解の課題(数唱,数字の読み,足し算)を対面で実施した。SFON課題の内容は以下のようであった。模倣課題:実施者がオウムの口にベリーを入れるのを注意深く見るよう子どもに促した後,ベリーをオウムの口に入れてもらう。モデル課題:実施者が恐竜の絵に角のスタンプを何回か押した後に,子どもに恐竜の絵とスタンプを与え,そっくりの恐竜を作ってもらう。picture課題:実施者は絵が見えない状態で絵を子どもに見せ,絵の中に何が見えるかを説明してもらう。メモリーカードゲーム:子どもにレゴやおやつなどが写っているカードを見せた後,カードに写っているものについて話してもらう。保護者には,SFON尺度と数への興味尺度を含む質問紙を実施するとともに,自身の子どもに上記の数理解の課題を実施してもらった。現在,結果を分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の計画どおり実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は,家庭環境と数への自発的焦点化との関係を検討する。そのために,数への自発的焦点化に関する行動リストと関連する環境(絵本の数,買い物の頻度等)とともに,その環境における保護者の働きかけ(絵本を一緒に読む,買い物の際に数や金額について話す等)を尋ねる。そして,4歳から6歳の幼児を持つ保護者500名を対象にインターネット調査を行い,SFON尺度との関係を検討する。
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Causes of Carryover |
今年度は国内外の学会での発表を行えなかったため,次年度使用額が生じた。来年度は学会発表もしくは英語論文の刊行に使用する予定である。
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