2022 Fiscal Year Research-status Report
音楽表現を探索する子どもと対話するアトリエリスタの視点・手法の研究
Project/Area Number |
22K02452
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Research Institution | Tsukuba International Junior College |
Principal Investigator |
板橋 華子 つくば国際短期大学, 保育科, 講師(移行) (50870200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲条 幸一 つくば国際短期大学, 保育科, 講師(移行) (80838201)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アトリエリスタ / 芸術士 / 対話 / 共鳴する身体 / コミュニティ / ダンスと音楽 / 聴くこと / 楽器 |
Outline of Annual Research Achievements |
イタリアのレッジョ・エミリア・アプローチの哲学を構造化し実践を特徴づけていることの一つが、幼児学校に配置されている教育学を専攻したペダゴジスタと芸術を専攻したアトリエリスタの存在である。本研究では、子どもの音楽表現の探索にアトリエリスタがどのような影響を与えているのか、特に、音楽を専攻したアトリエリスタと子どもの表現の関係性に着目し、その視点と手法の教育的意義を明らかにすることを目指している。令和4年度は、文献研究のほか、日本においてレッジョ・エミリア・インスパイアドの実践的な取り組みを行っている高松市の芸術士派遣事業の視察、フィールドでの活動の観察のほか、芸術士へのインタビュー調査を実施してきた。 その中で、子どもの音楽表現の探索を推進する条件を検討した結果、①空間のアートであるダンスなどの身体表現と結びつけて感じ取れるものであること、②自分が関わることで発生するモノや楽器の音であること、③所属する文化のコミュニティで触れる音・音楽であること、④身近に音・音楽の再現を可能にさせる媒体があること、⑤日常の経験の繰り返しと適量の変化から生まれてくるものであることなどの特徴が浮かび上がっている。フィールド観察では、芸術士の存在が子どもの作る歌のフレーズを瞬発的に再現する媒体として機能していた。一方、実践上の課題として、芸術士派遣を受ける幼児教育施設において、芸術士は単発的に子どもに何か面白い活動をやらせてくれる人として期待されている状況も見られる中、子どものやりたいことをサポートするという目的のために保育者と一緒にドキュメンテーションの内容を検討して次のプロジェクトに繋げたり、音・音楽という素材を用いた活動の実施条件や環境について十分に討議したりできないことも多いという現実も見えてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
レッジョ・エミリア・アプローチの影響を受け実践的な取り組みを行う日本の保育所や幼稚園、認定こども園での音楽表現とアトリエリスタの活動について、特に高松市の芸術士派遣事業での取り組みに焦点を当て、フィールドでの観察と対面でのインタビュー調査を実施している。しかし、令和4年度については、新型コロナウイルスの影響もあり、当初予定した数のデータの獲得までには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の対象であるアトリエリスタや芸術士は多様な考え方や新しい価値観を持って現場に入る存在であることが前提にあるため、フィールドでの観察とアトリエリスタへのインタビュー調査は継続的に続けていく。加えて、文献調査やフィールドでの観察から、子どもの音楽表現の探究に関連して「聴くこと」「共鳴する身体」や「ダンス」が重要なキーワードとして浮かび上がっている。そのため、今後予定されているアトリエリスタの視点や手法を援用した音楽表現プログラムの作成に向けては、ダンスやパフォーマンスの専門性を持つアトリエリスタの手法についても知見を得る必要性を感じており、音や音楽を利用する身体表現を専門とするアトリエリスタや芸術士の手法も検討しながら、レッジョの視察や新しい関連文献の精読を通して知見の体系化を進めていく。
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Causes of Carryover |
ウクライナでの戦争や燃料高騰化により、研究2年目に予定する海外実地調査の費用が大幅に増加することが見込まれたため、研究開始時より令和5年度の使用額に余裕を持たせられるよう各費目の調整を行った。そのほか、物品費や謝金等の使用予定を踏まえると当初予定に達すると考えられる。
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