2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K02518
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
松元 新一郎 静岡大学, 教育学部, 教授 (40447660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊倉 啓之 静岡大学, 教育学部, 教授 (00377706)
青山 和裕 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (10400657)
村越 真 静岡大学, 教育学部, 教授 (30210032)
川上 貴 宇都宮大学, 共同教育学部, 准教授 (90709552)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 数学教育 / リスク社会 / 初等中等教育 / 授業実践 / 教科書分析 / 意識調査 / 実態調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、小学校・中学校・高等学校における算数・数学を対象として、リスク社会に対応した数学教育のあり方を明らかにすることである。令和4(2022)年度は、研究分担者及び研究協力者が一同に集まる科研全体会を3回開催して、研究発表・協議・情報交換を行うとともに、主として次の4つの視点で研究を進めた。なお、(1)(3)(4)については、令和5(2023)年度の日本科学教育学会・年会において発表予定である。 (1)小中高の教師及び児童・生徒を対象とした調査と教科書分析を行うために、先行研究を基にして数学教育においてリスクを扱う観点を7つに定めた(「リスクの場面」「リスクの文脈のレベル」など)。 (2)(1)を基にして、小中高の児童・生徒を対象とした「リスクの理解を捉える実態調査」「リスクを算数・数学の授業で指導・学習することに関わる意識調査」を実施するために、調査問題及び質問紙の検討を行った。 (3)(1)を基にして、国内の小学校の教科書の記述において、リスクを意識した教材やリスクとして扱うことが可能な教材について分析した。 (4)(1)の「リスクを算数・数学で考察する力」の下位項目を「リスクを算数・数学の授業で扱う枠組み」として、指導案検討及び実践を行った。教材開発として中学校1本(中1「なぜ自転車保険は少ない保険料で、高額の保険金を支払うことができるのか」)、高校1本(数学B「分割払いとリボ払い」「老後2000万円問題」)の検討を行った。実践授業として、小学校4本(小1「どうぶつ村のお世話を見直そう」、小4「給食のむだをなくそう」、小4・小5「図書館へ行くおすすめのルートプランは?」、小6「生活習慣病にならないために」)、高校1本(「感染症の検査が陽性だったら」)の研究授業及び協議会を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4(2022)年度の計画は、主に「意識調査及び実態調査の開発」「教科書分析」「教材開発・実践」であった。 「意識調査及び実態調査の開発」は、質問紙(意識調査)と問題(実態調査)の開発について、全体会だけでなく、調査班でのオンライン会議を実施して、検討を進めることができた。 「教科書分析」は、7つの観点を基にした小学校の算数教科書の分析を行うにあたって、全体会だけでなく、教科書分析班でのオンライン会議を実施して、検討を進めることができた。 「教材開発・実践」は科研全体会での議論を踏まえて、2本の教材開発、及び、5本の研究授業・研究協議会の実施をすることができた。また、研究協力者(小中高の教員)が教材開発を行い、科研全体会で議論を行い、次年度に向けて授業づくりを進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.「リスクを算数・数学の授業で扱う枠組みの開発」については、海外の文献についても分析・考察を加えて精緻化を図る。 2.「意識調査・実態調査」については、調査の枠組みを整理したう上で予備調査を行い、本調査を実施するための検討を行う。 3.「教科書分析」については、中学校・高校の教科書分析を行う。 4.「リスクを扱った教材開発と授業実践の分析」については、研究授業の企画・実施・評価を通して授業事例を蓄積し、リスク社会に対応した数学教育のあり方への示唆を得る。 5.令和4(2022)年度の成果(教科書分析、授業研究など)を学会で発表する。また、中間報告書を作成し、情報発信(冊子媒体、研究室webサイトアップ)を行う。
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Causes of Carryover |
令和4(2022)年度に海外の実態調査を行う予定であったが、新型コロナウィルスの影響により延期とし、旅費等を使用しなかったため。また、令和4(2022)年度の日本科学教育学会・年会において,研究成果を発表したが、オンライン開催のために旅費等を使用しなかったため。 そこで、令和5(2023)年度は、日本科学教育学会・年会において,課題研究「リスク社会に対応した数学教育のあり方に関する研究(1)」を企画して研究発表を予定している。
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