2023 Fiscal Year Research-status Report
Qualitative Research on the Dialectic Cycle of Collaborative and Individual Reflections in Primary Mathematics Lesson Study
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22K02521
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小山 正孝 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (30186837)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 算数科授業研究 / 集団的省察 / 個人的省察 / 力動的サイクル / 質的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、算数科授業研究における教師たちの集団的省察と個人的省察の力動的サイクルの実相を明らかにすることによって、算数教育の質的向上に資するとともに、初等教育段階の数学教育学研究における新しい研究領域を開発・提案することである。 第2年次(令和5年度)は、研究代表者が提案した「学校での授業研究における算数・数学科の教師と教師教育者の職能発達のための力動的サイクルの枠組み」の中の、算数科の授業研究における原動力としての教師たちの「2つの省察(集団的省察と個人的省察)の力動的サイクル」の機能、集団的省察と個人的省察の変容過程に着目して研究を実施し、以下のような成果が得られた。 (1)統合の枠組みに関する基礎的研究: 算数科授業研究と算数・数学教育に関する文献研究を行うことによって、数学理解研究と算数・数学科授業研究の統合の枠組みの基盤をより明確にすることができた。 (2)算数科授業研究における「2つの省察の力動的サイクル」の機能: 算数科カリキュラムや算数科教材、教師の専門性、児童の実態、授業研究サイクルの視点から、文献解釈・教材研究法を用いて、算数科授業研究における原動力としての教師たちの「2つの省察の力動的サイクル」の機能を明らかにすることができた。 (3)集団的省察と個人的省察の変容過程の分析: 研究協力校(公立小学校1校)において、年間2回の校内算数科授業研究の学習指導案、研究授業や研究協議会の記録等の基礎的なデータを収集した。そして、2年間のデータを分析し、「2つの省察の力動的サイクル」が機能することによって、算数科授業における児童理解と教材研究に関する教師の変容が大きいことを明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大の影響が継続したため、当初計画していた次の3つの研究の一部を計画通りに実施することができず、本研究の現在までの進捗状況はやや遅れている。 (1)統合の枠組みに関する基礎的研究について、シンガポール国立教育研究学院や英国プリマス大学数学教授改革センターで研究計画のレビューを受けたり研究資料を収集したりすることができなかった。 (2)研究協力校(公立小学校1校)において、学校長や教師の異動にともなって、数名の教師を対象にしたポートフォリオ・インタビューのデータを継続的に収集することができなかった。 (3)2年次の研究成果を発表することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
第3年次(令和6年度)は、以下のように研究計画を遂行する。 (1)算数科授業研究のデータ収集・分析: 研究協力校において継続的に、年間3回の校内算数科授業研究に関するデータ、数名の教師を対象にしたポートフォリオ・インタビューのデータを収集し、分析する。 (2)算数科授業研究における「2つの省察の力動的サイクル」の実相の解明: 3年間のデータを質的に分析・比較し、教師たちの「2つの省察の力動的サイクル」の実相を明らかにするとともに、算数教育の質的向上に資する示唆を導出する。 (3)国際的な最新の研究資料の収集: 初等教育段階の数学教育学研究における新しい研究領域を開発・提案するために、国際的な最新の研究資料を収集する。 (4)研究成果の公表: 3年間の研究成果を国内の学会や国際会議で発表したり、学術誌に投稿したりする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響が継続したことと、学校長や一部の教師が異動したため、当初計画していた次の3つの研究の一部を計画通りに実施することができず、次年度使用額が生じた。 ①統合の枠組みに関する基礎的研究について、シンガポール国立教育研究学院や英国プリマス大学数学教授改革センターで研究計画のレビューを受けたり研究資料を収集したりすること。②研究協力校(公立小学校1校)において、数名の教師を対象にしたポートフォリオ・インタビューのデータを継続的に収集すること。③2年次の研究成果を発表すること。 このような理由で生じた次年度使用額は、研究課題に関する国際的な最新の研究資料の収集、教師を対象にしたポートフォリオ・インタビューのデータ収集、および研究成果の発表に使用する計画である。
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