2022 Fiscal Year Research-status Report
小・中学校における知性と感性を結ぶ俳句教育プログラムの開発と教育効果の検証
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22K02523
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
皆川 直凡 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (20222325)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 俳句教育 / 思考判断表現力 / 知識活用力 / 自律的行動力 / 人間関係調整力 / 共感性 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究協力者への依頼と協議をくり返し行い,研究協力校として3校を選定した。実践研究に用いる教材(俳句かるた)の選定を慎重に行い,TOSS製の「俳句かるた」を協力児童数の人数分(概数)を購入した。研究協力校3校のうち2校については対象学年を決め,教材を配布した。残りの1校については,同校の校長先生と,対象学年等の協議をひきつづき,おこなっており,本年5月初旬には決まる見込みである。 また,対象学年の決まった2校では,試行授業を1学年1学級ずつ実施していただいた。研究代表者が各校に赴いて参観した。1校は4年生,もう1校は5年生における1校時分の授業であった。季節を表す言葉「季語」を児童にあげさせ,それを教師が板書して,季節の時系列にそって整理していく。季節は春であったが,冬に近い早春,春たけなわの頃である「仲春」,夏に近い晩春の各時期,そしてさらにその間の時期というように整理された。また,集められた季語は,時候,天文,植物,動物,人事といった俳句歳時記の各領域に掲載されている内容であった。 その後,俳句が作成された。1回目は白,2回目はピングの短冊用の紙に書き,マグネットで黒板に貼る。その際,児童は自分自身があげた言葉で作るだけではなく,他の児童があげた言葉からも俳句を作っていた。これには同学年における発達差が反映されており,最近接発達領域をめぐる心の交流が俳句の作成に寄与したことを表している。1回目は児童によって1~3句が作成され,2回目は作句数が2~5句になり,1回目は1句しか作れなかった児童も2句以上作れるようになった。鑑賞の時間は設けられなかったが,黒板に貼られた俳句をみながら自然に感想を述べ合っていた。互いに友人のよいところを見つけようとする姿勢がみられた。 次年度の本格実施に向けて,重要な示唆が得られる試行授業であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画に係る教育実践(国語科における俳句の授業,関連の学級活動など)について,当初は研究計画1年目の前半に研究協力校と細部を協議し,1年目の後半から3年目に実施することを計画していた。しかしながら,コロナ禍が続いていることなどから,協力校との細部の協議が1年目の後半になり,1年目には試行授業を行うにとどまり,本格的な実践は2年目から実施することになったため。また,3校のうち1校は実施学年の決定や詳細の協議を2年目に入ってから行うことになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目におこなった2校での試行授業の成果についての分析を完了し,2年目の本格実施に備える。俳句についての協力教員間の共通理解を深めるため,各校教員による授業の実施に先立ち,研究代表者が俳句についての基本の授業を行うこととする。その後も連絡を密にし,6~7月,9~10月,1~2月に1度は各校を訪問し,教育実践の進展を見守り,助言を行う。
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Causes of Carryover |
今年度に研究打ち合わせをおこなった研究協力校が旅費を必要としない範囲であったため。
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