2023 Fiscal Year Research-status Report
説明的文章の批判的読みの授業の系統的、発展的な展開モデルの開発
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22K02548
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
吉川 芳則 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (70432581)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 説明的文章 / 批判的読みの観点、対象 / 精選・構造化・系統化 |
Outline of Annual Research Achievements |
説明的文章の批判的読みを児童生徒の読解リテラシーとして普及・充実させていくために、実践研究が十分ではない批判的読みの指導内容の精選と系統化を図ることを目指した。本年度は、井上尚美(1998)の「批判的な読みのチェックリスト」、阿部昇(1996)の「『吟味よみ』の方法」、森田信義(1998)の「評価読み」、吉川芳則(2017)の「批判的読みの基本的なあり方」、井上尚美(2012a)「『言語論理教育』指導の手引き」等の主要先行研究における批判的読みの指導内容を考察の対象として、その精選化と系統化を試み、仮説的な系統試案として導出した。試案の要素の観点は「事柄・内容」「論理・展開」「表現」「筆者」が得られ、これらを発達段階に応じてどのような比重で指導するのがよいか、その割合で指導内容の程度を示した。 低学年では「事柄・内容」と「表現」を中心にし、「論理・展開」「筆者」は直接の読みの観点とはしないこととした。「論理・展開」「筆者」については中学年以降に割合が増え、その分「事柄・内容」「表現」の比重は低くなる形となった。試案では、これらを批判的読みの対象として検討する際の具体的な観点も示した。内容的には吉川(2017)他から必要と考えられるものを精選して追加した。「表現」の観点における「図表、絵、写真等のあり方」「説明の分量」、「論理・展開」の観点における「全体か一部か」の三つである。「図表,絵,写真等のあり方」は、先行研究の整理では5・6年と中・高のみに置かれていたが、非連続型テキストをどう読むかは今後重要なリテラシーになるため、全学年共通の観点とした。「説明の分量」は、実践上での取り組みやすさも多くの研究授業で見られていることから中学年以降を対象に設定した。他にも、先行研究を踏まえて厳選した要素として位置付け、構造化・系統化して提示し、実践への適用を意図した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
批判的読みの指導内容の精選化と系統化を試み、仮説的な系統試案として導出することはできたが、実践によってその妥当性や有効性、そして課題、問題点を検証することにはじゅうぶん着手できなかった。そのために当初の計画よりも、やや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
県内の2市では複数の学校と共同研究を展開している経緯があるので、そこでの研究授業で試案に基づく実践を行ってもらい、試案の検討を推進すると共に、試案を活用する際の実践上の長所、短所等を授業者へのインタビューやアンケート等を通して把握する。また授業づくり(学習指導過程や学習活動の設定の在り方)についての知見も得るようにする。
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Causes of Carryover |
理論ベースで導出した試案の実践現場における授業検証に着手できなかったため、必要経費等の使用も控えめとなった。実際的な研究成果の蓄積を目指した活動経費として活用していく予定である。
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