2022 Fiscal Year Research-status Report
子供の空間把握に関する研究―環境と造形空間に焦点を当てて―
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22K02564
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Research Institution | Shibata Gakuen University Junior College |
Principal Investigator |
蝦名 敦子 柴田学園大学短期大学部, その他部局等, 特任教授 (20302010)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 空間把握 / 造形遊び / 環境 / 自然素材 / 造形活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の1年目は、幼稚園教育の「環境」と、「表現」の分野に注視した考察である。0歳~3歳、3歳~5歳児の保育と幼稚園の実態、周囲に関わる彼らの活動の観察が中心である。実習などの訪問を通して、観察する一方で、2か所の保育園、幼稚園で造形活動を実践した。後者のS幼稚園での実践は、今後、資料として検討する段階である。J保育園での実践は、小1の造形遊びと比較考察して、次の論文にその考察をまとめた。 1.「5歳児の造形遊び―紙を丸めた棒を使って―」 5歳児に同じ材料を使って造形遊びを行い、小1を対象として実施した造形遊びと空間把握の問題について比較考察した。ここでの空間把握とは、造形活動をしている際の周囲との関わりを指す。共通点は、共に造形活動に夢中になって取り組む点であり、相違点は造形物の形状の大きさや広がりと、周囲の場所への働きかけの違いである。小1の児童には造形活動とともに「場所の空間」に対する意識が働いていたが、5歳児は作ることに夢中で、そこまでの活動は見られなかった。幼児期の造形活動と場所の空間認識という新たな考察の視点が得られた。 また、短期大学部の環境整備を通して、環境の視点から考察しており、その成果は以下の論文にまとめられた。 2.「環境と造形活動に関する一考察―中庭整備プロジェクトを通して―」昨年から授業の一部に取り入れた本プロジェクトの2年目の展開を振り返った。新たににベンチ製作を行い、学生の約8割に良い体験として受け入れられた。その後の後期の授業で、「収穫」をし、さらに造形活動の教材として校庭の自然物が用いられた。身の回りの環境から自然への興味関心を高める題材に、造形活動の導入は相乗効果のあることが確認された。自然の環境整備と造形活動の融合した、新たな教材化という視点が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナの影響もあり、保育園や幼稚園での実践活動は十分にはできなかったが、そうした中、附属の幼稚園や市内の保育園の2か所で、当研究に関する実践を行うことができた。コロナ禍の状況を考慮して、ワークショップの実践は差し控えた。
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Strategy for Future Research Activity |
幼児の造形活動については、なるべく多くの実践データが得られるように、さらに研究実践を増やしていくつもりである。保育園や幼稚園を訪れて、実際に未就学児を対象とした実践を継続していく。また、環境の異なった場所でのワークショップも行う予定である。 一方、短期大学部の「環境」に関しては、「中庭整備プロジェクト」を継続していくことになる。学生が保育士や幼稚園教師となる観点から、環境整備を通して、幼児が過ごす園の「環境」の問題を実践的に考察していくことになる。とりわけ「身近な自然の環境整備と、造形活動が融合した教材化」に焦点を当てながら、造形空間の問題について検討していく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で初年度に開催できなかったワークショップを実施する。また、保育園や幼稚園での実践をさらに増やし、学会参加も増える予定である。
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