2022 Fiscal Year Research-status Report
道徳性を涵養する教科横断的なシティズンシップ教育カリキュラムのマネジメントの研究
Project/Area Number |
22K02644
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Research Institution | Okazaki Women's University |
Principal Investigator |
中村 仁志 岡崎女子大学, 子ども教育学部, 助教 (30881560)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | デューイ / デューイ実験学校 / 道徳性の涵養 / 適応 / カリキュラム / 教授過程 / 教師の力量形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,次の三つの問いについて明らかにすることを目的としている。①デューイ実験学校における道徳性を涵養する教科横断的なカリキュラムのマネジメントは,道徳性の涵養に関するデューイのどのような議論を基盤にしていたのか。②デューイ実験学校の教師は,①をふまえ,道徳性を涵養する教科横断的なカリキュラムのマネジメントをいかに進めたのか。③①②の成果から,わが国の小学校における道徳性を涵養する教科横断的なシティズンシップ教育カリキュラムのマネジメントについてどのような示唆を得ることできるのか。 2022年度は,シティズンシップ教育に関わる研究会に参加するとともに,シティズンシップ教育および道徳教育の理論と実践に関する文献の収集を行うことで,シティズンシップ教育および道徳教育に関する理解の深化を図った。 それと並行して,本研究の問い①と②に関わる研究を進めた。具体的には,本研究の問い①に関わって,デューイの議論を分析対象とし,デューイが論じた道徳性論と適応論の関連性,知性と道徳性の一体的涵養の論理について明らかにした。それに加え,デューイのいう道徳性論と適応論に含意されていた「諸条件」に関する議論に着目しつつ,適応を促すカリキュラム開発の論理,カリキュラム論と教授過程論の密接な関連性について詳らかにした。また,本研究の問い②に関わって,デューイ実験学校における教育実践およびそれを保障する教師のマネジメントに注目し,知性と道徳性の一体的涵養の具体,歴史科の授業実践における教師の指導の具体とそこに見られた指導観の共有および指導の力量形成の保障について明らかにした。これらの研究については,学会発表,著書,論文を通してその成果の共有を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は,業務の関係で一部参加することができなかった学会があったが,シティズンシップ教育に関わる研究会に参加するとともに,シティズンシップ教育および道徳教育の理論と実践に関する文献の収集を行うことで,当初の計画にあったように,シティズンシップ教育および道徳教育に関する理解の深化を図ることができた。それとともに,本研究の問い①と②に関わる研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,2022年度に引き続き,本研究の問い①と②を中心に研究を進める。具体的には,シティズンシップ教育および道徳性の涵養の視座からみて重要となるデューイの適応論に着目し,デューイの適応論がもつ教育目的論としての特質,特定の教科における適応を促すカリキュラムと教授過程の論理について明らかにすることに取り組む。 また,当初,2023年度と2024年度に1回ずつ,計2回の米国での史資料の収集を予定していたが,米国での史資料の収集に必要な旅費が申請時点より大幅に高くなっている。そのため,米国での史資料の収集の回数および時期について再検討を行う。
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Causes of Carryover |
当初,参加を予定していた学会に参加することができなかったため,次年度使用額が生じた。これについては,2023年度,学会の参加に必要な旅費に使用する。
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