2022 Fiscal Year Research-status Report
「語彙学習力」の育成を志向した書くことにおける語彙指導研究-中学校を中心に-
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22K02653
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
萩中 奈穂美 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 准教授 (40851712)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 語彙学習力 / 語彙指導 / 語彙学習 / 国語科 |
Outline of Annual Research Achievements |
国語科の語彙指導研究史において「語彙学習力」に関わる力の育成がどのように扱われたかを概観した。1950年代後半には自ら語彙を習得していく力を育成する必要が指摘されていたことを確認した。その頃は未知の語句の量的獲得を目指すことが中心とされる向きがあった。しかし、その後、語彙論や認知心理学の研究の成果を踏まえ、学習者の立場から学習者自身による語彙の拡充をめざした指導の必要が強調されるようになった。これに伴い語彙学習力に相当する力の育成への言及も増えた。こうした点について大まかに把握したところである。 教育心理学の知見を援用して語彙学習の動機づけを整理した。語彙学習の動機づけは、語彙への興味や関心のみと理解される傾向にあったが、学習者の側からその動機づけを分析するとそれ以外の動機づけが多様に存在する可能性が明らかになった。また、国語教育実践家である大村はまが創作した『ことばの勉強会』に記述された台詞の分析を行った。これを通して、語彙学習には、知的な認知面だけではなく情的な感性面が不可欠であり、さらにその内実について、知見を得た。 一方、実践を通した研究も進めた。一つは、自身の授業実践の考察を通した研究である。体系的な語彙学習を機能的な語彙学習に挿入した学習指導過程、またその過程の初期に自身の語彙や語彙使用を省察させる活動を設定することで、語彙の価値を実感したり語彙の探究意欲を高めたりすることができる可能性について示唆を得た。いま一つは、新規の語彙単元の開発である。語感を感受することを重視したことばへの憧れを育む単元、及び、気に留まった語句を契機に多様な観点で語彙の拡充を図る学習方略を習得させる単元を構想して授業実践を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
必要な文献を手元に準備することができ、先行研究の検討などの文献研究を滞りなく進めることができた。実践研究についても、学校現場の協力を得ながら概ね実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
先行研究に関しては、さらに詳細な検討を進める。これを通して、語彙学習力の育成に関してどのような成果が積まれ、課題が残っているのかを明確にする。また、開発した単元の授業実践については、学習成果物に含まれる内容を慎重かつ客観的に分析考察し、当該単元の有効性を検討する。
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