2023 Fiscal Year Research-status Report
中学校技術科における非認知能力を高める形成的アセスメントと学習法・教材の開発
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22K02672
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Research Institution | Daiichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
倉元 賢一 第一工科大学, 工学部, 准教授 (20908107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 彰孝 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (50508348)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 形成的評価 / 非認知能力 / GRIT / 省察 / 課題解決 |
Outline of Annual Research Achievements |
中学校技術科の学習における「問題解決能力」を育成するプロセスで,非認知能力の向上を目指し,成功体験が実感できる形成的アセスメントを用いた学習方法と教材の開発のうち,2023年度は,非認知能力とされるグリットに着目して,課題解決学習(以下PBL)の後,振返り(省察)を行い,学習の省察がグリットにどのような影響を与えているかを調査し,非認知能力を高める方法について検討した。大学生を対象としてPBLを行い,技術科の学習過程である①問題発見,課題設定の場面,②設計・計画,③製作,制作,育成,④成果の評価,改善・修正,⑤新たな問題の発見のそれぞれの段階において省察を行い,その後「成功体験を感じたか」「成功体験の必要性を感じたか」について調査し,合わせて省察の前後でGritの変容についても調査を行った。調査の結果,成功体験を感じたのは③の製作の場面が最も多かった。④の評価の場面では成功体験を感じた割合は62.5%であったが,必要性があると答えた割合は100%であった。また,省察の前後でグリットは平均3.51から3.65へと高まった。特にグリットの調査項目で「粘り強さ」に関する項目が高まっていた。このことより,成果の評価,改善・修正を成功体験へ導く学習方法の必要性が示唆された。同時に,省察は特に粘り強さに関する項目を高めることに寄与することが推察された。加えて,グリットを高めるために必要な経験について,大学生と短大生を対象に調査を行った。その結果,グリットと成功体験との相関は見られなかったが,グリットを高めるためには,目標の明確化や周りの理解やサポートや自信など,自分自身の努力の肯定が関連していることが示唆された。また,「やり抜く力」をつけるためには,成功体験だけなく,そのプロセスや結果の振り返りのフィードバックなど一連の学習の流れが必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
項目①学習内容とその評価に関する現状調査・分析,②技術科における形成的アセスメントに関する先行研究の調査・分析については,形成的評価の指標として,目標の明確化や周りの理解やサポート,自信などが非認知能力を向上させる要素として必要であることが明らかになりつつある。 項目③形成的アセスメントを取り入れた学習方法と教材の開発,項目④:実践を行い,質問紙・動画などによる学習者の学習状況の分析と学習内容・方法・教材の再検討については,項目①と②材料と加工の分野で中学生を対象に実践を行った。形成的評価の方法に関する調査として,省察後にグリットを測定した場合と,省察前にグリットを測定した場合との比較などを行い,非認知能力向上のための条件について知見を得ている。 項目⑤:形成的アセスメントが非認知能力に及ぼす影響を授業実践により検証・改良,総括については,A材料と加工の技術について,達成感や他者との関わり,自信などを実感できるような授業設計を行い実践した。その分析がこれからの課題であるが,概ね開発した学習内容・方法,教材が非認知能力の向上に寄与する可能性が示唆されている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度までにA材料と加工の技術,D情報の技術で形成的評価と非認知能力の関係について実践を通して知見を蓄積してきた。このことを踏まえて2024年度は以下の内容を進める。 項目③:形成的アセスメントを取り入れた学習方法と教材の開発では,これまでに得られた目標の明確化,周りの理解,教師のサポート,自信などのキーワードを網羅するような学習内容・方法,教材を考案し学校現場での実践を目指したい。項目④:実践を行い,質問紙・動画などによる学習者の学習状況の分析と学習内容・方法・教材の再検討に関しては,項目③で考案した内容を学校現場で実践し,その結果から,形成的評価と非認知能力との関係を明らかにし,A材料と加工の技術,D情報の技術における「問題解決学習のプロセス」非認知能力を高める学習方法と教材の開発を目指す。項目⑤:形成的アセスメントが非認知能力に及ぼす影響を授業実践により検証・改良,総括に関しては,これまでに得られた知見から非認知能力を向上させる形成的アセスメントの要件について検討し,その成果を関係学会で発表するなどして改善を加え,非認知能力を高める学習方法と教材の開発を目指す。
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Causes of Carryover |
学校現場の教育課程に本研究の実践を盛り込むことが難しく,旅費や教材の購入として考えていた予算の消化ができなかったため。
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Research Products
(2 results)