2022 Fiscal Year Research-status Report
「遊びを通した学び」における観点の創出―美術教育での幼小連携に着目して―
Project/Area Number |
22K02673
|
Research Institution | Chubu Gakuin College |
Principal Investigator |
小室 明久 中部学院大学短期大学部, 幼児教育学科, 講師 (80847088)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 美術教育 / 幼小連携 / 遊び / 子ども理解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は芸術が持つ多様な表現による活動の「遊び」に着目し,保育士・幼稚園教諭と初等教育の教師が子どもの「遊び」から捉える「学び」の観点を明らかにすることである。2022年度における研究実績は次のとおりである。 1.(口頭発表)表現を拓く保育者の援助 ―造形活動におけるエピソードから―(アートミーツケア学会 2022年度総会・大会) 本研究は研究協力者である保育士・幼稚園教諭、教師とともに行った。まず、幼児教育と初等教育それぞれの現場にて「遊び」の実践事例から学びを捉える観点を構築すべくフィールドワーク調査及びインタビュー調査を実施した。調査結果から領域「表現」,図画工作科での活動の「遊び」における教師の「子ども理解」について研究を行った。研究結果は学会にて口頭発表を行った。 2ー1.(口頭発表)『造形活動の教材づくりにおける学生の学び -自然材を用いた模擬保育の質的分析から-』,第56回 日本美術教育研究発表会2022 2ー2.(研究論文)「造形活動の教材づくりにおける学生の学び―自然材を用いた模擬保育の質的分析から―」,『日本美術教育研究論集 2023 No.56』日本美術教育連合,pp.1-8.(査読付) 本研究では造形活動を主とする題材考案を行い,模擬保育を実施した学生の学びを明らかにするため,保育士養成課程に通う短期大学部2年生の授業で行った模擬保育の参与観察と実践後の質問紙調査を行った。さらに質問紙調査の記述をもとに質的コーディングの手法を用いて分析,考察した。分析と考察の結果,題材考案・模擬保育の一連の実践の中で,造形活動に特徴的な学びは,素材の特性を活かした題材づくり,表現を考えることを通して「今までと異なる自然材への視点」を学んでいた。模擬保育で他者との交流の中で自分と異なる発想,手立てと出会い,自分自身の視点に気づき直し,省察していたことが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は概ね計画通りに進行している。計画での1年目の予定は下記のとおりである。 1)保育士及び幼稚園教諭と初等教育の教師を対象とした質的調査(1年目) 本研究は研究協力者である保育士・幼稚園教諭、教師とともに行う。まず,幼児教育と初等教育それぞれの現場にて「遊び」の実践事例から学びを捉える観点を構築すべく調査を実施する。また,研究協力に関わる保育士・幼稚園教諭と小学校の教師を含めた合同の研究会を行い,それぞれの観点の違いについて比較・検討を行う。 また,2022年度は教諭へのインタビュー調査だけではなく,幼児と児童を対象とした造形ワークショップを企画し,岐阜県郡上市にて実施した。2023年度はこれらの調査を分析し,発表及び論文投稿を行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は計画にあるとおり,2年目,3年目と実施していく予定である。 2年目:「遊びを通した学び」における観点を示した実践モデルの構築 1年目において明らかにした表現及び造形における「子ども理解」の特性を基盤に遊びの特性を示した実践事例を研究協力保育士・教員とともに実践モデルを作成する。また、定期的に合同の研究会を行い、遊びの特性を踏まえた実践について検討する。 3年目:保育士・幼稚園教諭・教師とともにアクションリサーチを実施(2年目後半ー3年目) 3年目に事例をまとめたプログラムを年度のカリキュラムに導入し、アクションリサーチを実施する。保育士・教師自身が「遊びを通した学び」を捉えた観点に至るプロセスを明らかにする。また、3年目の後半に研究をまとめ、対面とオンラインを同時並行したフォーラムを開催する。
|
Causes of Carryover |
年度内にて購入予定だったインクやその他消耗品を期日までに購入することができなかったため,次年度使用額が生じた。2023年度に購入予定である。
|
Research Products
(7 results)