2022 Fiscal Year Research-status Report
The Research about the Non University Higher Education in Austria
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22K02686
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Research Institution | Kushiro Public University of Economics |
Principal Investigator |
田中 達也 釧路公立大学, 経済学部, 教授 (10633448)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 非大学型高等教育機関 / オーストリア / 差別化・対等化 / 専門大学 / ドイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、オーストリアの非大学型高等教育機関(専門大学)に焦点を当て、総合大学との対等化または総合大学への昇格に向かう動きがあるのではないかを明らかにすることである。具体的には、隣国ドイツにおいて専門大学がどのように議論されているのかを分析し、オーストリアとの違いを明確にする。そして、日本の専門職大学・専門職短期大学へのフィードバックを行う。 2022年度は、新型コロナ感染症による海外渡航への制限があったため、オーストリアの専門大学の成立・発展過程、ドイツの専門大学の現状、日本の専門職大学・専門職短期大学について文献研究を中心に行った。3つのテーマについて、オンラインで学会発表を行った。 まず、オーストリアの専門大学は2020年の法律改正によってそれまで5年に1回行われていた認証評価業務が終了し、専門大学の名称付与権が廃止され、総合大学と差が縮まったことがわかった。次に、ドイツの高等教育開発センター(CHE)が2013年に公表した専門大学と総合大学との構造モデルを分析し、州によって専門大学と総合大学との関係が異なっていることが明らかになった。全体的な傾向としては、二元制度の維持は継続していることが確認できた。最後に、日本の専門職大学・専門職短期大学は、年々増加しているが、設立されて間もないことから今後の発展を予想することは難しいという結論であった。 本来であれば対面で学会発表を行い議論を深めることが理想的であるが、オンライン開催であったため、それは難しかった。オンライン発表でどのように研究を深めることが出来るのかが課題として残された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の初年度は、「ドイツの専門大学がどのように総合大学との対等化を実現し、違いを維持しようとしているのか」であった。様々な二元モデルを提案しているCHEによる文献を分析した。ドイツの高等教育政策に新制御モデル(NPM)と呼ばれる改革モデルが導入された結果、現在は総合大学と専門大学の二元制度の中で競争環境を促していることがわかった。 1年単位で見ると、ドイツの専門は研究発展途上であるが、3年間全体で見ると順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目にあたる2023年度は、オーストリアにおける総合大学と専門大学との間の連携・協力・競争関係を明らかにすることが目標である。先行研究や「将来の大学」プロジェクトの報告書を分析するとともに、海外渡航の制限が解除されたため、オーストリアへの渡航を行う。 感染対策を意識しながら、オーストリアで開催されるヨーロッパ高等教育学会(EAIR)に参加し、ヨーロッパにおける高等教育の関係情報を収集する。また、学会の前後にウィーンの国立図書館を中心に文献を収集し、関連文献の執筆者へのインタビュー調査を行い、これまでの研究を深めることが出来るようにする。 ドイツについては、引き続き文献研究を行い南東部バイエルン州と南西部バーデン・ヴュルテンベルク州の非大学型高等教育機関に焦点を当てて前年度の研究を補完する。
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Causes of Carryover |
2022年度は、新型コロナ感染症による影響が継続したことにより、国内学会がオンラインで開催されたことより旅費の執行が出来なかった。 2023年度は、オーストリアへの海外渡航を予定し旅費の大幅な増加が予定されているため、2024年度の研究経費の一部を前倒しした。
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