2022 Fiscal Year Research-status Report
教学マネジメントにおける学部長等のミドルリーダーシップ研究
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22K02698
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
山本 啓一 北陸大学, 経済経営学部, 教授 (30341481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 充功 日本文理大学, 工学部, 教授 (10369134)
大森 昭生 共愛学園前橋国際大学, 国際社会学部, 教授 (20289812)
成田 秀夫 山梨学院大学, 学習・教育開発センター, 特任教授 (70848770)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 教学マネジメント / ミドルリーダー教員 / 学位プログラムのマネジメント / 教員のリーダーシップ開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、教学マネジメント改革におけるミドルリーダー教員の役割や育成に焦点を当て、その具体的内容、意義、重要性を明らかにすることを目的とし、ミドルリーダー教員の育成のガイドブック作成やプログラム開発を目指すものである。 今年度の研究成果として、教育改革を重視する学長のビジョンおよび学位プログラム単位・部局単位でのミドルリーダー(学部長学科長、センター長など)の役割と育成に焦点を当てた研究会等を開催し、ミドルリーダーの現状と課題について明らかにした。具体的には、第2回公開研究会「学長のリーダーシップと大学の将来」と第3回公開研究会「教学マネジメント体制構築に向けたミドルマネジャー教員の役割と課題」が実施された。 これらの研究活動によって明らかになったミドル教員の課題は、求められる役割や資質能力が曖昧で多様であること、ミドル教員になる前にリーダーシップを磨く機会が少ないこと、そしてミドルマネジャーに必要な資質・能力を育成する研修プログラムがほとんど存在しないことである。 次年度は、今年度に明らかになった課題をもとに、教学マネジメントの垂直展開と水平展開を担うミドルの役割に焦点を当てた研究を進める予定である。今後の研究成果やプログラム開発を通じて、ミドルリーダー教員の育成や教育マネジメント改革に関する理解が深まり、より効果的な取り組みが実現されることを目指す。 また、本研究の取り組みを通じて、関係者・参加者間での活発な情報共有や交流が行われている。研究活動を通じて得られたノウハウや知見の普及・共有が促進されることで、ミドルリーダー教員の役割や重要性がより一層広く認識されることも目指したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度の進捗状況は当初の計画以上に進展している。本研究に参加する研究者同士の研究会実施に加え、公開研究会が2回実施されたことも、計画以上の進捗である。7月の公開研究会では、「学長のリーダーシップと大学の将来」をテーマに、基調講演や特別講演が行われ、5名の学長が参加し、大学ビジョンとその実行について議論が交わされた。この研究会には100名の参加者が集まった。2023年2月の第3回公開研究会では、「教学マネジメント体制構築に向けたミドルマネジャー教員の役割と課題」をテーマに、実践報告やワークショップが行われ、25校以上の大学や民間企業から50名が参加した。 また、第29回大学教育研究フォーラムで、「教学マネジメントにおける大学教員のミドルリーダーシップ―ミドル教員の育成をめざして―」というテーマで参加者企画セッションが開催された。ここでも、ミドル教員の現状や課題、成長の糧となる要素について議論がなされ、多くの意見が交換された。さらに、ミドルマネジャー教員FDにも複数回関わることができたことも、当初の計画以上の進捗である。 これらの活動を通じて、ミドルマネジャー教員の役割や課題について多くの知見が得られ、教育マネジメント改革に向けた理解が深まった。次年度以降も研究を継続し、教育マネジメントにおけるミドルマネジャー教員の役割が大学運営の柱となる存在であり、その育成と支援が今後ますます重要となることを明らかにしていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、教学マネジメントにおける垂直方向および水平方向の展開に関し、ミドルリーダーの役割をより明確にすることに取り組む。ミドルリーダーが持つべき責任や権限、組織として必要なサポート体制、教職協働のあり方などを明らかにすることで、適切な育成方法や支援体制の構築につながると考えられる。 次に、ミドルリーダーの育成方法に関する研究を進める。多くの大学の学長などの要望を踏まえ、ミドルリーダーが現場で直面する課題やニーズに対応できる能力を身につけられる教育プログラムの開発を目指す。 具体的には、次年度の取り組みとして、既に今年度実施したアンケートに加え、規模を拡大し、全国の大学に対してミドルリーダーに関する調査アンケートを実施する。アンケート調査を通じて、全学レベルではミドルリーダーにどのような期待が持たれているのか、ミドルリーダーはどのような状況に置かれているのか、どのような支援が求められているのかを明らかにする。 また、注目すべきミドルリーダーへのヒアリング調査を実施することで、実際に成功しているミドルリーダーの事例や経験も明らかにできる。これらの事例や経験を踏まえ、効果的なミドルリーダー育成プログラムや支援策の開発へとつなげる。 さらに、引き続き公開研究会やミドルマネジャー教員のFD・SD研修を実施することで、理論と実践を組み合わせた研究が進められる。これらの取り組みを通じて、教育マネジメント改革におけるミドルリーダーの役割や育成方法に関する研究が一層進展し、大学教育の質の向上に寄与することが期待される。
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Causes of Carryover |
本年度の既受領額累計に対する支出額累計の差額が1,054円生じた理由は、予定していた打ち合わせや研究会の回数が実際よりも大幅に増加し、旅費支出が拡大したためである。また、人件費や謝金などのその他支出との調整が十分に行われず、その結果、差額が生じてしまったと考えられる。 次年度については、アンケートやヒアリング調査を重点的に実施する予定である。このため、先に述べた差額は調査費に充当することを計画している。この対策により、差額を適切に活用し、調査の質を向上させることが期待される。 総じて、今年度の支出額累計に生じた差額は、予定外の増加による旅費支出拡大と調整不足が原因である。次年度は、差額を調査費に充当することで、調査の質を向上させることを目標としたい。
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Research Products
(2 results)