2023 Fiscal Year Research-status Report
「大学校風」の指標可視化と大学評価への活用に向けた実証的研究
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22K02705
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
大川 一毅 岩手大学, 評価室, 教授 (20267446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶌田 敏行 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構, 研究開発部, 教授 (00400599)
大野 賢一 鳥取大学, その他部局等, 教授 (90314608)
山本 尚史 筑紫女学園大学, 人間科学部, 講師 (90767542)
井上 美香子 福岡女学院大学, 人文学部, 講師 (30567326)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 大学校風 / 大学評価 / 評価指標可視化 / 大学の個性化 / 大学活性化 / 学生の成長 / 自由な校風 / 大学帰属意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「大学評価の新たな探求とその指標策定」を目的とし、「大学校風」を研究視点・対象に設定している。 計画2年目の令和5年度は、研究工程「第2ステップ」として、「大学校風の意識調査に関するアンケート」を全国の大学広報担当部署、同窓会組織、教育後援会組織等の約2000箇所に回答依頼を発送して実施した。調査は令和5年1月に企画・準備を開始し、3月末に調査票を郵送した。回答受付にはWebシステムも活用し、4月末に締め切った。これにより全国から約400件の回答を得た。 4月以降、回答データの集計・分析を行い、その結果と考察を、まず6月の日本高等教育学会第26回大会で報告した。また10月には論文として大学紀要に投稿し、12月に刊行された。さらに調査結果を報告書冊子にまとめ、回答協力者に還元送付するとともに、岩手大学図書館へ寄贈した。大学図書館から国立国会図書館にも寄贈され、蔵書登録されている。これらの研究成果は、大学リポジトリのほか、本研究グループのサイト(https://m.youtube.com/watch?v=XPt0EBthS7Q)でも公開している。 令和5年度は、上記アンケート調査の分析を踏まえ、研究計画「第3ステップ(最終工程)」の課題に着手開始した。この研究工程では「校風」要素を大学評価に活用できる評価項目として策定することを目的としている。そのための取り組みとして「自由な校風」に着目した検討・検証を進めている。この分析を踏まえた考察は、2024年5月の日本高等教育学会第27回大会で報告する予定である。 本研究では、今後も「校風」要素の分析を進め、大学評価に活用できる指標を策定していく。最終的には、大学評価の新たな枠組みを構築し、大学の個性と強みを活かした活性化評価につなげていくことを目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の研究計画では、「ステップ2」段階として、①「前年度研究で抽出した校風要素のキーワードを分類区分」し、これを踏まえて、②「抽出項目の妥当性・志向性を検証するために、大学・卒業生・保護者へのアンケート調査を実施して、集計結果の分析と考察を進めること」を目的とした。 ①については、令和4(2022)年3月末までの研究段階で全国大学ホームページにおける校風言及を抽出し、これを分析して「校風構成要素」を分類整理を完了している。その分類の妥当性を実証的に検証すべく、令和5(2023)年は②の研究工程として、全国大学関係者に「ホームページ言及調査結果」を基礎として作題した「校風認識アンケート調査」を実施した 。 これら調査により、大学の校風は印象・イメージだけでなく、具体的な活動を踏まえながら醸成・確立・継承されていることが明らかになった。さらに、多くの大学でそれぞれの個性発揮につながる校風活用の取り組みを行っており、教育事業や学生支援、地域との連携など多岐にわたる取り組みが行われていることも確認された。 大学校風を活かして自学の個性化・活性化と学生の発達・成長を促進するためには、校風要素を大学評価に活用しうる評価項目策定や自己点検・評価、第三者評価への援用方法の検討も重要となってくる。調査知見に伴うこうした課題意識のもと、最終年度の研究工程「ステップ3」として、「大学校風」をめぐる評価項目策定や自己点検・評価のあり方、大学活性化に向けた事業への援用方法、等の検討を進めることになる。 以上のことより、令和5年度の研究計画をつつがなく実施し、全体計画工程に照らして順調に進捗していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2024最終年度(研究計画工程ステップ③)は、これまで実施してきた調査結果の分析をもとに、校風要素を大学評価に活用しうる可視的指標の策定を試みる。その上でこれら指標を活用して大学の魅力を引き出す自己点検・評価のあり方や、第三者評価への援用方法についても可能な範囲で検討する。なお、アンケート結果を踏まえた訪問調査を企図している。 この他、2024年度途中から新規参加した研究分担者の専門範囲をいかし,大学特性に応じた校風分析をはじめ、校風を活かした教学事業や学生支援の取組についての実証的調査・研究を進める。これら一連の研究成果は日本高等教育学会や大学評価コンソーシアム等で報告する。また、研究成果の大学還元に意義を見出す本研究は、調査結果のウェブ公開など、積極的情報提供につとめる。
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Causes of Carryover |
2023年度より、研究分担者を2名追加し(計5名)、これまで3名で分割配分していた助成交付額を5名で分割することになった。これにより、2023年度以降の各年度研究費の各員配分額はかなり減額される。この懸念より、2023年度の経費使用について、構成各員は可能な範囲で節減に努め、その残額(次年度使用額)を最終2024年度に繰り越して活用することとした。なお最終年度は、2023年度に実施したアンケート調査を踏まえ、大学訪問ヒアリング調査の経費に使用する計画である。
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Research Products
(4 results)