2023 Fiscal Year Research-status Report
大学での障害学生支援のリソースを活用した高等学校への包括的支援プログラムの開発
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22K02791
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
立田 祐子 中部大学, 現代教育学部, 准教授 (70869982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊原 佐和子 北海道大学, 学生相談総合センター, 准教授 (00761389)
小倉 靖範 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (10827918)
佐藤 枝里 中部大学, 学生相談室, 教授 (40542668)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 特別支援教育 / 高等学校 / 高大連携 / 障害理解 / 困難感の類型 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、インタビュー調査の検討を行った。これら事例から、支援の必要な生徒が、学習遂行に問題がない、あるいは要求される学力水準を満たしている場合は、生徒の困難感に、教師が気づかない可能性があることが分かった。また、生徒が診断を受け、障害があることが明らかな場合には、合理的配慮を組織として検討し、支援を進めていくことが可能となるが、そうでない場合は、教師個人の力量に頼る傾向が高いことも読み取れた。すなわち、診断はないが支援が必要と思われる生徒の対応については、教師の経験からの対応に頼ることとなっていた。 しかし、大学卒業後を見据えた進路指導の重要性を指摘する教員もおり、オープンキャンパス等の意義を理解し参加を呼び掛けているものの、その大学での障害学生支援の実際や担当部署の存在については、理解が足りなかったり、そもそも関心がなかったりすることが分かった。とはいえ、「合理的配慮」については、多少の理解と「やらなくてはいけない」との意思はうかがえた。 インタビュー調査からは、進学重視校における教師と支援の必要な生徒との「困難感」について、4つの類型に分けることができた。 「類型Ⅰ:教師・生徒ともに困っている」教師個人の力量に任されており、教師、生徒ともに困難は解消されない「類型Ⅱ:教師は困っていないが、生徒は困っている」教師からの適切な支援がないことから、生徒の困難はさらに助長される「類型Ⅲ:教師は困っているが、生徒は困っていない」教師は支援の方向性が分からず、生徒・保護者への対応に苦慮している。大学進学後に不適応が生じる可能性がある「類型Ⅳ:教師・生徒ともに、困っていない」適切な支援が必要であるにもかかわらず、支援が行われていないことから、大学進学後に不適応が生じる可能性がある これらについて、日本高校教育学会第30回大会、および同学会北海道支部第12回研究会で口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
インタビューの分析・検証にかなりの時間を費やした。プログラムの試案までには、至っていないが、進学重視校におけるおける教師と支援の必要な生徒との係わりについての現状と課題を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
進学重視校での現状と課題、大学における障害学生支援室の取組等について現状と課題を更に明らかにするため、教員らによるシンポジウムを実施し支援の必要な生徒・学生に対しての高大連携の在り方について具体的な検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
シンポジウムを延期したので、本年度分の費用が残っている。次年度は、進学重視校の教員、大学の障害学生支援を担当している教員らとシンポジウムの開催を予定している。シンポジウムに係る打ち合わせ及び報告書の作成を予定している。
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Research Products
(2 results)