2022 Fiscal Year Research-status Report
小学校の教科学習においてメタ認知を育成するノート指導法の開発
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22K02882
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
吉野 巌 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (60312328)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | メタ認知 / 算数指導法 / ノート指導 / 吹出し / 意味的理解 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般にはメタ認知的活動をまだ行うことができないとされている小学校1年生において,4回の算数授業(繰り下がりのある引き算の単元)で意味的理解を目指したメタ認知的指導を行い,児童がどのようなメタ認知的思考を吹出しに記述するかを分析した。第1回目授業で,算数の授業でメタ認知的思考を行うことの重要性を説明し,そうしたメタ認知的思考を行って頭の中に思い浮かんだことをノートに吹き出しとして記述するように教示した。児童が4回の授業のノートに記述した吹出しについて,気づき,説明,評価,疑問の4種にカテゴリー化し,それぞれメタ認知的気づきのレベルに応じて1-3点の3段階に得点化した。その上で1授業ごとに吹出しの合計点を求めた。第1回授業のメタ認知の意識づけが印象的だったのか,第1回授業の吹出し得点に比べて,第2回以降の得点は大幅に低くなった。記述の質的変化を見るためにカテゴリーごとの得点を求めた。第1回授業の吹出し得点については,4カテゴリーの中では気づき得点が最も高く,疑問,説明と続き,評価の得点は最も低かった。ただ,群ごとに見ると,下位・中位群では気づき以外の3種の得点は低いのに対し,上位群では説明と疑問の得点がやや高いという違いが見られた。一方,第2-4回の授業の吹出し得点の平均を求めて分析したところ,第1回の時のように気づきが突出して高いわけではなく,評価,気づき,疑問の得点が相対的に高く,説明の得点が最も低かった。数回の授業を通して,授業で気づいたりわかったことに加えて,他の児童と自分の解き方を比較しそれぞれ評価することや,意味を問う疑問など,メタ認知的思考が多様になったと言えるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①「算数授業においてメタ認知を育成するノート指導法の開発」を小学校1年生で行ったが,研究協力者である小学校教員が令和4年度に異動となり異動先での研究が諸事情で難しくなってしまった関係で,予定していた小学校高学年の算数授業での実験授業を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
①算数授業においてメタ認知を育成するノート指導法の開発:先行研究(吉野・鐙, 2022)では、小6算数授業において、(i)メタ認知の意識づけを行い、(ii)メタ認知的モニタリング(吹出しへの記述)と(iii)意味的理解を目指すメタ認知的思考を促す指導を行ったが、予想したような効果が得られなかった。今年度は、意味的理解を目指したメタ認知的思考を実現するために指導法を見直し(吹出しをより有効に使ったノート指導など)、再度高学年で介入授業を行いたい。 ②メタ認知を育成するノート指導の他教科での有効性の検証:小学校高学年理科授業で算数と同様の介入授業を行うほか、中学校国語授業でも介入授業を行うための準備を行っている。
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Causes of Carryover |
(理由)前年度執行が予定の約50%程度にとどまった。研究協力者である小学校教員が令和4年度に異動となり異動先での研究が諸事情で難しくなってしまった関係で,令和4年度は計画していた調査を行うことができなかった。そのため、データ入力のための謝金がかからなかった。また、教育心理学会がオンラインで開催されたため、旅費がかからなかった。 (使用計画)本研究では,児童のワークシートへの記述・回答を収集し分析することが中心であり,そのデータ化のための補助設備や人員が必要である。補助設備として,パソコン,iPad,ビデオは購入したので,解析ソフトやより周辺的なソフトや記録媒体等を購入する予定である。また,ワークシートへの記述をテキストデータとして入力するための補助人員として学生をアルバイトとして雇用したいと考えている。本年度も小学校・中学校で研究を行う予定であるためにデータ量は膨大であり,1日約6時間として1人×50日分の謝金を計上する予定である。学会発表(国内)については,1回(研究成果発表・資料収集)ほど予定している。
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Research Products
(1 results)