2023 Fiscal Year Research-status Report
小学校の教科学習においてメタ認知を育成するノート指導法の開発
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22K02882
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
吉野 巌 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (60312328)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | メタ認知 / 自己調整学習 / ノート指導 / 中学国語 / 小説読解 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は研究実施計画の②「メタ認知を育成するノート指導の他教科での有効性の検証」に関する研究として以下を行った。 中学3年生の国語授業(実験群:2クラス66名)において,①メタ認知と自己調整学習の意識づけを行った上で,②生徒のメタ認知・自己調整学習,小説批評に関連する学習方略の獲得を促進する指導を行い,③自己調整学習意識や動機づけ(課題価値),読解方略使用を測定し,指導の効果を統制群(3クラス93名)と比較・検証した。 実験群の課題価値尺度得点が統制群より高くなる傾向が,特に制度的利用価値(例.入試に役立つ)や興味価値(例.物語読解の授業は楽しい)で見られた。自己調整学習得点に群間差はなかったが,課題価値得点と自己調整学習得点の間に中程度の相関が見られたことから,自己調整学習を行っている生徒は,物語の授業は面白く役に立つと思っており,より多くの読解方略を用いる傾向があることが示唆された。 実験群の生徒が実験授業で書いた批評文と振り返りについて,自己調整学習得点の上位と下位に分けて分析を行った。批評文の平均得点、振り返り得点ともに、自己調整上位群が自己調整下位群を有意に上回った。実験群の中で,メタ認知や自己調整学習の意識が高い生徒は,読解方略の選択・使用を意図的に行い,言葉による見方・考え方に基づいた批評文を書くことができたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①「算数授業においてメタ認知を育成するノート指導法の開発」:研究協力者である小学校教員が令和5年度に異動となり異動先での研究が諸事情で難しくなってしまった関係で,予定していた算数授業での実験授業を行うことができなかった。 ②「メタ認知を育成するノート指導の他教科での有効性の検証」:令和5年度は、中学校国語授業で、メタ認知と自己調整学習の意識づけを行う介入授業を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
①「算数授業においてメタ認知を育成するノート指導法の開発」:研究協力者を確保した上で、意味的理解を目指したメタ認知的思考を実現するために指導法を見直し(吹出しをより有効に使ったノート指導など)、再度高学年で介入授業を行いたい。 ②「メタ認知を育成するノート指導の他教科での有効性の検証」:前年度の中学国語授業での研究を修正し、今年度も引き続き中学校国語授業での介入授業を行うための準備を行っている。
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Causes of Carryover |
(理由) 使用額は予定の約80%程度であった。研究協力者である小学校教員が令和5年度に異動となり異動先での研究が諸事情で難しくなってしまった関係で,令和5年度は計画していた調査を行うことができなかった。また、教育心理学会がオンラインで開催されたため、旅費がかからなかった。 (使用計画) 本研究では,児童・生徒のワークシートへの記述・回答を収集し分析することが中心であり,そのデータ化のための補助設備や人員が必要である。補助設備として,パソコン,iPad,ビデオ,プリンタは購入したので,研究支援サービスの契約や、より周辺的なソフトや記録媒体等を購入する予定である。また,ワークシートへの記述をテキストデータとして入力するための補助人員として学生をアルバイトとして雇用したいと考えている。本年度も小学校・中学校で研究を行う予定であるためにデータ量は膨大であり,1日約6時間として1人×50日分の謝金を計上する予定である。学会発表(国内)については,2回(研究成果発表・資料収集)ほど予定している。
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