2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K02966
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
下井倉 ともみ 大妻女子大学, 社会情報学部, 准教授 (30569760)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 天文教育 / 天文教材 / 教員志望学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、(1)月に関する立体教材と (2)放射線(宇宙線)に関する立体パネル教材制作の他、(3)分子輝線データから機械学習を用いて天体の探査を行い、その教材化を試みた。 (1)東京学芸大学の40cm光学望遠鏡による420nmと775nmの狭帯域測光観測を基に作成した月面の酸化鉄の濃度分布図を利用して、月に関する教材を制作した。教材は、月面の鉄濃度分布を示すプログラムと、月の存在が地球環境に及ぼしている影響を示すプログラムの2つで構成した。教材の目的は、プログラムの利用者に月の地質学的な特徴を理解させ、また、月と地球の関係について考えさせることである。大学生を対象に教材を用いた教育実践を行い、その効果を検証した。 (2)発泡スチロール板や画用紙、磁石などを使用し、放射線に関する立体的なA3サイズの解説パネルを6枚制作し、授業実践を行った。授業では、身の回りの放射線、原子の表記と放射線の特徴、放射線の種類と特徴、半減期等を解説した。授業後に、教材を用いた解説によりどのくらい放射線について理解が深まったかを調査するため、解説の前後で放射線に関する基礎的な知識を問うテストを行った。全9つの問題のうち、8つの問題の結果で正答率が上がり、本教材を通して放射線の理解を深めることができた。 (3)星形成活動の異なる複数の領域に対して電波望遠鏡による分子分光観測を遂行し、分子雲の12COやCS分子輝線等のデータを取得した。観測には国立天文台野辺山45m電波望遠鏡とハワイのJames Clerk Maxwell Telescopeを用いた。これらの取得データを用いて、畳み込みニューラルネットワークによる画像認識の手法により、原始星から放出される双極分子流の探査を行った。この結果、ある程度の大きさを持つ双極状の双極分子流については、機械学習を用いて同定できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は立体的な天文教材を2つ制作した。(1)月面の鉄分布を理解させる教材、(2)放射線を理解させる教材、である。またそれらを用いた授業実践を行った。2つの教材それぞれについて教職課程を履修中の学生を含む、大学生に対して授業実践を行った。教育実践の前後で実施したアンケートの結果より2つの教材についての教育効果を確認した。さらに、画像認識の手法により、分子輝線データから原始星から放出される双極分子流の探査を試みた。ある程度の大きさを持つ双極状の双極分子流については、機械学習を用いて同定できることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、太陽系外惑星についての教材を制作する。宇宙に関する空間的な距離のスケールを理解させるにはどうするべきか、まず教職課程に在籍する学生へ理解度調査を行う。その後、理解不足の項目を明らかにした上で、それらを補うための展示物やワークシートなどの開発を行う。複数の太陽系外惑星について可視光観測を行い、トランジット法にて惑星の動きを探る。また、観測データを用いたワークシートを作成する。また、2023年度に実施した機械学習による双極分子流の探査について、一連の流れを教材化する。
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Causes of Carryover |
論文投稿料として使用する予定であった。現在、論文を執筆中であり、2023年度中の投稿が間に合わなかったため。
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Research Products
(6 results)