2023 Fiscal Year Research-status Report
新たな完全主義モデルの検討:完全性への動機の自己決定性に着目して
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22K03065
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
坪田 祐基 愛知淑徳大学, 健康医療科学部, 准教授 (60804060)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 完全主義 / 自己決定理論 / パーソナリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、完全主義の適応・不適応性の両面を示すいくつかの下位因子間の関係を一貫して説明するために、完全性への動機の「自己決定性(どの程度内なる欲求に基づいて行動しているかの程度)」に着目した新たな完全主義の理論モデルを構築し、既存の完全主義尺度の下位因子間の関連を明らかにするとともに、新たな下位因子の予測と実証を試みる。さらに、下位因子それぞれが「なぜ」適応的・不適応的なのかについて、説明できるかを検証する。2023年度は、理論の精緻化を行うとともに、自己決定性に基づいて完全主義を測定する尺度の項目を複数作成し、因子構造を検討するための質問紙調査を行うことを目的としていた。 理論の精緻化を行うために、完全主義や動機づけの自己決定理論、パーソナリティに関する先行研究の資料収集、レビューを行った。先行研究の収集やレビューは順調に進み、完全主義や自己決定理論、パーソナリティに関する理論の精緻化を行うことができた。これらの成果を活かし、3件の図書を執筆し、2件は出版され、1件は印刷中(2024年度に発刊予定)である。 尺度作成のために、自己決定理論に基づいた動機づけの尺度を参考に、尺度を複数作成し、1500名を対象にweb調査を行った。また、そのうちの895名に縦断調査を行い、再検査信頼性を確認した。この結果については、2024年度に国際学会で発表を予定している。 さらに、構成概念妥当性の検証を目的とし、既存の完全主義尺度との関連を検討するために、1000名にweb調査を実施した。このデータについては、現在分析を進めているところである。 なお、いずれの研究においても、実施にあたっては所属機関において倫理審査を受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、順調に調査を実施することができた。一方、発表は学会の開催時期の問題からまだ行えていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度中に収集したデータについて、2024年度前半に国際学会で、2024年度後半には国内学会での発表を行う。 また、作成した尺度をもとに、他のパーソナリティや適応状態との関連を検討する調査を、2024年度後半に行う。
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Causes of Carryover |
2023年度に行う予定だった学会での発表を行うことができなかったため、旅費・大会参加費がかからず、次年度使用額が生じた。 2024年度には、作成した尺度を用い、他の変数との関連を検討するためのweb調査を行うための費用がかかる。共分散構造分析を実行できるソフトウェア(Mplus)のアップグレードと保守費用がかかる。得られた結果について解釈を深めたり、理論的な考察を深めるために、心理学関連の諸文献を購入する。収集したデータの整理、ならびに文献データや執筆した原稿データの整理などのために、データ保存用のUSBメモリを購入する。また、論文執筆やデータ整理に関わる資料整理のための文房具を購入する予定である。国内外の学会へと参加し、研究成果を発表するとともに、外部の研究者から示唆を得るために国内旅費・外国旅費、大会参加費が必要である。査読付きの国際学術誌への投稿や、国際学会に提出するアブストラクトの提出の際に、英文校閲費が必要となる。また、収集した資料や、執筆した論文などを印刷するために、印刷費が必要である。さらに、学会誌への論文投稿の際の費用として、学会誌投稿料が必要である。
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Research Products
(2 results)