2022 Fiscal Year Research-status Report
Spatial cognition in fish-Analysis with species, task and brain region-
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22K03215
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡辺 茂 慶應義塾大学, 文学部(三田), 名誉教授 (30051907)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ウナギ / 脳の比較 / 空間学習 / 水流学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)ニホンウナギを4本のパイプがある円形プールで訓練した。ウナギはこのうち1本のパイプに入ることができるが、他の3本には入ることができない。入ることのできるパイプの横には小型スクリュウが設置され、その位置はランダムに変えられる。およそ15試行で学習ができた。パイプとスクリュウの位置をずらすとその距離に依存して正答率が低下した。スクリュウの羽を外すと弁別ができなくなった。一方、スクリュウの代わりに小型水中ポンプを設置した場合には弁別を維持できた。側線の有毛細胞を傷害するために飼育水槽にストレプトマイシンを投与すると弁別はできなくなった。これらの結果は1)ニホンウナギが水流を手がかりとする空間学習ができること、2)その弁別は側線器官経由の感覚を用いていること、を示す。 2)脳の背面及び側面画像の面積から算出する新しい脳サイズの指標を考案した。ニホンウナギとマハゼからこの指標を計算し、脳重と比較したところどちらの種でも高い相関を得ることができた。本指標を元に、脳プロフィールを調べると、ウナギは相対的に大きな嗅球と大脳を持ち、ハゼは大きな視蓋を持つことがわかった。また、主成分分析を行うと2種が異なるクラスターを形成することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)ウナギの行動実験についてはほぼ予定通りに進行しているが、他の魚種については実験系が確立していない。 2)脳計測については新たな指標を作成し、その検討を行なった。 3)脳損傷法については改良の余地がある。
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Strategy for Future Research Activity |
1)ウナギ行動実験については順調に進んでいるが、他種については実験系が確立していないので、まず他種の行動実験系の確立を目指す。 2)脳損傷については空気圧による神経毒の注入を行なったが、結果が安定せず、今後電気泳動での注入を試みる。 3)他種の脳比較については、アナゴ、チンアナゴの脳計測(研究実績の概要2)参照)及び顕微観察を行う。
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Causes of Carryover |
ウナギの飼育にはエアーポンプ、パイプなどが必要だが、今年度は使用個体が少なかった為、残額が出た。この額は次年度のうなぎ飼育経費として支出する。
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