2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K03238
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
宮谷 和尭 東京電機大学, 未来科学部, 助教 (10711145)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 超幾何函数 / 数論幾何学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,有限体上の超幾何函数およびp-進超幾何函数について,1変数・多変数ともに幾つかの方面から研究を行った. まず1変数の場合については,p-進超幾何D-加群で上下のパラメーターに整数差がありうる(ただしLiouville差はない)ものについて考察を行った.その結果,これがよりパラメーターの少ない超幾何D-加群の拡張として書かれることが明らかになった.特に,本研究以前に判明していたことと合わせて,多くの超幾何D-加群のoverholonomicityを証明することができた.これは従前得られていたoverholonomic D-加群の族を広げた点で意義がある.また,2022年11月には東北大学における国際研究集会においてこれについての研究発表を行った. また,多変数の場合(特に,GKZ超幾何函数と呼ばれる場合)については,有限体上の類似について詳しい考察を行った.特に,Mathematicaを用いて色々な場合に数値実験・観察を行った.本来の狙いは,幾つかのパラメーター変換に関して非自明な関係式を見つけ,先行研究における2つの「GKZ超幾何」の間の関係を知ることであった.現在のところかなり簡単な場合にのみ関係式が得られているが,数値計算による観察・研究の素地は十分整ったと言える. そのほか,2022年7月にオーガナイザーのひとりとして「第21回仙台広島整数論集会」を開催した.整数論や数論幾何学を専門とする若手研究者を中心に,活発な研究発表と有意義な議論が行われた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多変数の場合については,有限体上の異なる2種類のGKZ超幾何函数の間の関係など判明していないことが未だに多いが,計算機を用いた観察を進めることができている.1変数の場合については,D-加群の観点から一定の結果が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
有限体上のGKZ超幾何函数・p-進GKZ超幾何D-加群についての考察をさらに進める.必ずしも直接的な関係式が得られるわけではなくても,有限体上の超幾何函数について様々な方面から観察を続ける. また,D-加群の方面からは,1変数の場合からは一旦離れ,GKZの場合にFourier変換との関係について考察を行う. なお,2023年7月に,オーガナイザーのひとりとして「第22回仙台広島整数論集会」を開催する予定である.
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Causes of Carryover |
研究機関の異動の準備などに伴って本来の想定よりも出張が少なくなったことが主な理由である。翌年度以降に,改めて旅費や必要な物品費・消耗品費として使用する予定である。
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