2022 Fiscal Year Research-status Report
Value-distribution theory of zeta and multiple zeta functions
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22K03267
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 耕二 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (60192754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅垣 由美子 奈良女子大学, 自然科学系, 准教授 (80372689)
峰 正博 上智大学, 理工学部, 研究員 (80935974)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | ゼータ関数 / L 関数 / 多重ゼータ関数 / M 関数 / 値分布 / 対称積 L 関数 / 普遍性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度に主として研究が進んだのは、第一には保型形式に付随する対称積 L 関数の値分布に関して、レベルについての観点から、M 関数の理論構築への足掛かりを得たことである。とくに symmetric square L 関数の場合には、Dirichlet L 関数の場合のかなり正確な類似というべき極限定理が成立することを自然な仮定のもとで証明できた。より一般の場合には、非常に特殊なテスト関数に対してしか証明することはできていないが、Granville-Soundararajan の手法を援用する新基軸を打ち出すことにより、新たな観点からの M 関数論への展望を与えたのではないか、と考える。近年、保型 L 関数に対する M 関数の理論は急展開を見せたが、本研究は(本研究プロジェクトの中では一段面ではあるが)当面の一区切りをつけた感があるかもしれない。 次に Schur 多重ゼータ関数については、Giambelli 公式を適用することにより、Schur 多重ゼータ関数を Euler-Zagier タイプの多重ゼータ関数とそのスター類似を混合させたものにより表示する式や、ある種の一般化されたルート系のゼータ関数で表示する式を得た。これらは以前、anti-hook タイプの場合に得ていた定理の類似であり、skew タイプでもない場合に類似の式を得たことで、その意味がより明確になってくると考えられる。 普遍性についても、離散的な場合の混合型の同時普遍性定理について、Hurwitz タイプだけであった、片方のゼータ関数のクラスがもっと一般化できるであろう、という可能性が判明し、研究の新しい方向性が見えてきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は研究計画の初年度で、まだまだ最終目的には至っていない部分が大半だが、新しい方向性が複数のテーマにわたって見出されてきており、今後へ向けての展望は大変順調だと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度について言えば、Schur 多重ゼータ関数の研究が当面の中心的目標となると考えられ、その推進方策としてはより代数的な構造論、例えば Hopf 代数の立場からの考察などを交えた分析をより重視することが考えられる。いっぽう、M 関数の理論の方向では、むしろより解析的な(場合によっては確率論などの)手段の援用を考えるべきであろう。
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Causes of Carryover |
年度末に一部セミナーの中止などがあり、少額ではあるが予定通りの予算執行が行われなかった(延期された)ため。
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Research Products
(10 results)