2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K03268
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
水澤 靖 立教大学, 理学部, 教授 (60453817)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 代数的整数論 / 岩澤理論 / ガロア理論 / 類体論 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究課題の目的は、代数体の擬馴分岐副pガロア群の構造と種々の数論的不変量との関係性を精密に記述し、岩澤理論の未解決問題および相互法則の研究に応用することであった。その関係性の記述と応用のための準備を前年度から引き続き行い、主に以下の成果を得た: (1) 擬馴分岐副2ガロア群が副メタ巡回群と階数1自由副2群の半直積であるような実2次体の分類を、大幅に進展させた。国外の研究協力者との共同研究として、研究期間内には分類を完成させられる見込みである。この分類には円単数の高次冪剰余条件が密接に関係するため、相互法則の研究と互いに応用し合うことが期待できる。さらにその副産物として、実2次体の不分岐岩澤加群の2階数の明示公式を与えた。同種の公式を導く先行研究もあるが、有限体の算術から容易に計算できる公式を与えており、特にその2階数が2となる実2次体の分類表を完成させることができた。 (2) 判別式-7の虚2次体の1点外不分岐Z2拡大を2次拡大上に持ち上げたZ2拡大に対して、グリーンバーグ予想の類似問題の研究を行い、研究協力者との共同研究として、グリーンバーグ予想研究の基本定理である尾崎田谷の定理などの類似を得ることができた。副産物として、この非円分的な擬馴分岐副2ガロア群が(1)と同様の構造を持つ具体例も発見できた。さらにグリーンバーグ予想の成否判定が特に望まれる状況も設定することができ、今後の研究の新しい方向性も得られた。 以上の成果は論文としてまとめて学術雑誌に投稿する予定である。また、当研究課題の意義を研究集会にて発表し、数論トポロジーの視点からの考察も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究計画の順序変更を行ったことも影響しているが、応用面を先に意識した浅い研究に留まっている感があるため、進捗状況には満足できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の順序変更による遅れを取り戻すべく、一年間の期間延長も視野に入れて、適切に研究計画を再整理したい。具体例計算のみに留まらず、より一般的な理論の研究へと移行してゆきたい。
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Causes of Carryover |
研究機関の変更に伴い、計算機環境整備費用が節約できたことに加えて、研究打合せも遠隔ミーティングや都内の大学で行うことが多かったため、旅費の支出も抑えられた。より踏み込んだ議論を行う対面セミナーや研究打合せのために、国内外への出張旅費として使用したい。さらに次年度配分とも合わせて、計算機による代数計算環境を補強したい。
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