2023 Fiscal Year Research-status Report
マルコフ半群に付随する分数べき積分作用素とマルティンゲール理論
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22K03338
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
貞末 岳 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (40324884)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マルコフ半群 / マルティンゲール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、マルコフ半群に基づく実解析的・調和解析的な基礎理論を構築すること、特に付随する分数べき積分作用素や Morrey 空間を、マルティンゲール理論等を用いて研究することである。そして前年度までで、マルコフ半群に付随する分数べき積分作用素を一般化し、標準的な条件の下で Orlicz 空間での有界性を示し、さらに確率微分方程式を用いることにより、この条件が Heisenberg 群では必要十分となることを示した。また、均質距離空間での一般化分数べき積分作用素に関する拡張も合わせて定理としてまとめ、論文として発表している。 当該年度ではマルティンゲールに対する Morrey 空間の定義を与え、その前双対空間をブロック空間として構成し、またマルティンゲール最大作用素やマルティンゲール分数べき積分作用素の有界性を得た。そしてマルコフ半群に付随する Morrey 空間の定義を与え、マルコフ半群に付随する最大作用素の Morrey 空間での有界性や、ピン止め型条件付き期待値のマルティンゲールMorrey 空間からマルコフ半群に付随する Morrey 空間への有界性を考察した。この有界性はマルコフ半群に付随する Morrey 空間の前双対空間とマルティンゲールMorrey 空間の前双対空間との対応が示せればよく、熱核に関する一定の条件下での有界性を、マルティンゲールとマルコフ半群との対応という視点から示すことができた。しかしこの条件は先行研究が用いているものより強いようだったため、条件の緩和を試みたが、適切な拡張の方向が見いだせず、当該年度での発表には至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画ではマルティンゲールに対する Morrey 空間とマルコフ半群に付随する Morrey 空間の対応を、先行研究の条件を超えた形で見出す予定であったが計画通りに進まなかった。また予定していたマルコフ半群に付随する Campanato 空間の基本性質を示すことができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
マルティンゲールに対する Morrey 空間とマルコフ半群に付随する Morrey 空間の対応の研究を継続し、先行研究の条件を緩和する。また分数べき積分作用素に関して重み付き不等式を考察する。このさい茨城大学の中井教授などの助言を求める。
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Causes of Carryover |
前年度はコロナ禍によりほとんど出張が行えず、旅費の使用額が少なくなった。また当該年度は研究が予定通りに進まず、研究集会で発表を行わなかったため、旅費の使用額が少なくなった。次年度は研究を完成させ、研究集会への出席・発表を積極的に行う。また必要な資料をためらわず集める。
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