2023 Fiscal Year Research-status Report
モノドロミー保存変形のタウ関数と無限次元代数の表現論
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22K03350
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
名古屋 創 金沢大学, 数物科学系, 教授 (80447367)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | Virasoro algebra / Painleve equation |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度までに、Neveu-Schwartz 代数の不確定頂点作用素が一意的に存在することを示し、それらが Virasoro 代数の不確定頂点作用素の和に分解することを示した。 2023度は分解に際し各 Virasoro 代数の不確定頂点作用素の係数の決定することを目標に研究を行った。中心電荷が1であるときにはこれらの係数の積がパンルヴェタウ関数を共形ブロックで展開する際の各係数を与えることから、頂点作用素に対する係数を決定することは、第四、五パンルヴェ方程式のタウ関数が不確定共形ブロックでFourier展開されることの証明を与える重要な課題である。Bershtein-Shchechkin による確定頂点作用素に対する係数の決定には Gauss の超幾何関数の接続問題が使われたが、ランク1の不確定の場合は、合流型超幾何関数の接続問題は使えず、量子パンルヴェ第五方程式の接続問題を使うと良さそうだということが判明した。この方針に従って研究を進展させている。
一方で、不確定頂点作用素の分解定理から、Virasoro 代数の不確定共形ブロックが双線形方程式を満たすことが導かれる。そこで、パンルヴェ方程式の双線型方程式にタウ関数の級数展開を代入し、係数が具体的に書き下せるかについて調べた。第三パンルヴェ方程式の場合には係数の具体系が双線型方程式から得られることがわかった。この結果から、頂点作用素の係数も双線型方程式から具体的に決定されることが期待される。
他方で、確定頂点作用素の分解係数を退化させることで、不確定頂点作用素の分解係数を得られることも期待される。金沢大学の中川春樹氏との共同研究で Virasoro 代数の頂点作用素の退化操作を正当化できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Neveu-Schwartz 代数に対する不確定頂点作用素を Virasoro 代数の頂点作用素の和で表示した際の各係数の具体形がランク1の時でさえ得られていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
不確定頂点作用素の分解係数を具体的に求めるために、量子パンルヴェ方程式の接続問題を使う。
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Causes of Carryover |
R5年度に予定していた研究打ち合わせのためのフランス・トゥール大学訪問が延期となったため、次年度使用額が生じた。今後において同大学を訪問するために使用する。
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