2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K03367
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐々木 浩宣 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (00568496)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 逆散乱問題 / シュレーディンガー方程式 / 散乱作用素 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は主に、空間2次元の非線型シュレディンガー方程式における散乱の逆問題について研究した。ここで、「方程式の非線型項N(u)は(uに関して)滑らかであり、幾つかの設定がなされているが、詳細な情報・形状は未知である」と仮定している。 (目標)散乱作用素の情報が既知であるとしたときに、その情報を利用して未知なるNを同定すること。特に、Nの性質(例えば原点におけるウィルティンガー微分係数など)に関する再構成公式を作成すること。 (背景)N(u)がかなり具体的に与えられていて、未知な情報が極僅かである場合は、幾つかの結果が知られている。その場合、「小振幅極限」が有効である。「小振幅極限」はいわば散乱作用素の1次近似に相当するもので、様々な散乱の逆問題に利用されている一方、今回の設定では、未知な情報が非常に多く、「小振幅極限」だけではNの同定には程遠い状況となる。従って、新たな手法を確立する必要がる。 (主結果)今年度は、散乱作用素のn次近似に相当する評価式を証明し、それを利用することで、「Nの(原点に於ける)n次(ウィルティンガー)微分係数を一意に再構成する公式」を確立した。なお、この公式は、n次未満の微分係数が未知であっても適用可能となる。 (応用例)「Nが多項式であることが分かっている場合」であれば、当該公式を用いることでNそのものを一意に再構成することが証明される。 これらの結果は学術論文として纏められ、査読付き国際学術雑誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第2年度としておおむね順調に進展していると言える。 当初の計画においては、【NLS、NLKGと非線型ディラック方程式(NLD)の散乱問題を考察する。更に研究に関連する関数空間の考察も行う。】というテーマを設定した。上部の「研究業績の概要において」記載した結果は、このテーマと大いに関連があり、本来の目的達成に大きく寄与する可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
現段階で得られている主結果及びそれを得るに至る手法を応用・修正することで、更に深い諸性質を明らかにしていく。その際に関数解析学(フーリエ解析、バナッハ空間の補間空間論、自己共役作用素のスペクトル理論、リーマン幾何学など)の深い洞察が必要となるので、周辺分野の研究も適時行う。また考察を補助的に支えるシミュレーションについても随時実行する。横断的な研究になるので、それぞれの専門家との議論を活発に行う。
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Causes of Carryover |
令和5年度は(新型コロナウイルスの関係で残額が多かった)もう一つの科研費の使用を優先した故、少額の支出に留まった。 (使用計画) 本研究では様々な分野(偏微分方程式、関数解析、数理物理)の技術・知識を必要とするため、それに関連する書籍を年間20冊程度(40万円程度)購入する。本研究における論文作成、成果発表資料作成、シミュレーション作成、研究者間の通信のため、パソコン周辺機器の充実化が必須であり、30万円程度の購入を計画している。本研究の打ち合わせ並びに研究成果発表のために、出張を行う。国内出張先として京都大学、北海道大学、東北大学が挙げられる。またタイミング次第で海外出張も行う。予算は30万円程度である。
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Research Products
(2 results)