2022 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical study on doping-induced electronic states originating from spin-charge separation of strongly correlated insulators
Project/Area Number |
22K03477
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
河野 昌仙 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主席研究員 (40370308)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 近藤絶縁体 / モット転移 / スピン電荷分離 / 電子状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
重い電子系の絶縁体である近藤絶縁体に注目し、異なる軌道の混成を含むモデルである一次元近藤格子モデルと周期アンダーソンモデルの電子状態について、動的密度行列繰り込み群法の数値計算と摂動理論による研究を行った。その結果、モット転移の場合と同様に、ドーピングによって絶縁体相のスピン励起に起因した電子状態が出現することを示すことに成功し、その特徴を明らかにすることができた。この性質は、近藤絶縁体におけるスピンと電荷の分離、つまり、電荷励起ギャップよりも小さなエネルギー領域に磁気励起状態が存在することに由来しており、通常のバンド描像では説明することができない強相関効果である。また、周期アンダーソンモデルでは、フェルミエネルギーから離れたエネルギー領域においても、ドーピングによって電子状態が出現することを理論・数値計算によって明らかにすることができた。このことは、これまでドーピングは低エネルギー領域の物性に影響すると考えられてきたが、フェルミエネルギーから離れたエネルギー領域の性質にも影響を及ぼすことを示している。これまで重い電子系や近藤格子系において、有効質量が異常に増大することは主に電子相関の効果と考えられてきたが、今回の理論・数値計算によって、電子相関の効果よりもむしろ異なる軌道の混成効果の方が、有効質量の増大に強く係わっていることが明らかになった。一方で、上述した、近藤絶縁体の磁気励起状態がドーピングによって電子状態として出現する性質は、これまでの重い電子系や近藤格子系の研究では考えられていなかった顕著な電子相関の効果である。この研究成果は、論文[M. Kohno, Phys. Rev. B 105, 155134 (2022)]として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
近藤絶縁体に対するドーピング効果について、初年度に論文として発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
強相関絶縁体のスピン電荷分離に起因する電子状態に関する温度効果の研究を行い、より広い観点から理解を深めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大を懸念して、海外で開催される学会への参加・出張を行わなかったため。翌年度分と合わせて学会への参加・出張費や論文投稿料等に使用したいと考えている。
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Research Products
(2 results)