2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K03492
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
遠藤 晋平 東北大学, 理学研究科, 助教 (30824453)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 量子少数多体問題 / 冷却原子気体 / 量子3体問題 / エフィモフ状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
冷却原子気体における高い角運動量状態(i.e.回転する量子状態)、すなわちS波以外の角運動量状態が寄与する3体現象の研究を開始・遂行した。特に近年の冷却原子気体実験の進捗状況を分析し、国内会議・ワークショップや国際会議に積極的に参加し、国内の冷却原子実験研究者らとの議論を行った。その結果、近年実現した冷却原子気体の量子3体系において、S波以外の角運動量状態が寄与しうる物理系の可能性を見出した。その系に注目して、我々は本年度に量子3体計算を開始した。具体的には数値計算コードの開発を行い、予備計算を行える段階までを完了した。また、ある一定の近似や極限の下では量子3体計算が解析的に行うことが可能になる。次年度以降行う予定の数値計算の計算コードの検証および近似や極限での物理的解析の目的のため、解析計算による量子3体系の解析計算も行った。そして束縛状態の波動関数やエネルギーの解析表式を得ることに成功した。これらの成果は、次年度に数値計算を遂行し結果を得るための重要な進展であると考えれらえる。また、原子核分野の研究会やワークショップにも参加し、原子核分野の研究者らとも活発に議論を行った。特に原子核においては、S波以外の角運動量状態が寄与する原子核の量子少数現象が多数観測され・知られている。そのため、本研究が原子核の量子少数系研究に対しても重要な示唆を与えうるという新たな知見を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究計画開始の初年度としてはおおむね順調に進展したと思われる。研究計画で想定した、S波以外が大きな寄与をし得る冷却原子量子少数系の分析・情報収集を行い、具体的な研究対象とする物理系の問題設定を完了した。そして実際に解析計算や数値計算の遂行を開始し、解析計算も数値計算コード開発もおおむね順調に進展している。次年度には予備的な結果も得られると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に研究を遂行した量子3体系の研究を引き続き行う。特に前年度におおむね予備計算を行えるようになった数値計算コードを基に量子3体計算を具体的に実行し、3粒子束縛状態がどのようなパラメータ領域で現れるか、どのような性質やユニバーサルな挙動を示しうるか、そしてそれらの結果が冷却原子実験でどのような観測が可能か、を探る研究を行う。
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Causes of Carryover |
2022年度に数値計算用のPCの購入を検討していたが、価格や納期等の事情、そして2022年度が研究開始段階で数値計算コードの開発および解析計算の実行段階であり本格的な数値計算を実行する前段階である等に事情から、2023年度に本格的な数値計算等を行うためのPCの購入をすることとした。
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Research Products
(11 results)