2023 Fiscal Year Research-status Report
Understanding of 3-D plasma radiation structure using feature extraction from 2-D image data
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22K03583
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
向井 清史 核融合科学研究所, 研究部, 助教 (90632266)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 画像計測 / 特徴抽出 / 主成分分析 / 非接触ダイバータ / 放射崩壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、輻射画像の特徴抽出を用いる点を特色とし、核融合プラズマ輻射の3次元構造に関する物理機構、特に①非接触ダイバータにおける熱負荷軽減のトロイダル異方性に対する輻射構造の影響及び②放射崩壊における輻射構造の磁場配位依存性を明らかにすることである。令和5年度の研究実績の概要は以下の通りである。 ①について、大型ヘリカル装置(LHD)における非接触ダイバータ形成のための不純物入射実験では、窒素のみならずネオンを入射した際にもダイバータ熱負荷の減少にトロイダル異方性が確認されている。令和4年度に明らかにした窒素入射時の3次元に局在化した輻射構造に加え、今年度はネオン入射時の熱負荷軽減のトロイダル異方性と輻射構造の関係を明らかにした。輻射の2次元計測として、トロイダル方向26 ch、小半径方向20 ch、計520 chのイメージングボロメータ(IRVB)を用いた。ネオン入射前の密度を1 - 5×10^19 m^-3でスキャンし、トロイダル異方性の強弱が見られた2317枚の画像に対し主成分分析を行い特徴的な構造を抽出した結果、トロイダル異方性が強い場合は輻射がより局在化していることが分かった。さらに、局在化は窒素入射時と比べてよりプラズマ上流で生じており、EMC3-EIRENEコードにより予測される不純物の電離分布位置と対応する結果が得られた。 ②について、LHDの放射崩壊実験で3種類の磁場配位において2次元輻射のデータを取得した。さらに、令和4年度にヘリオトロンJに開発・導入したIRVBにより、従来の計測よりも高感度・高時間分解能での計測が可能となった。また、課題であった電子サイクロトロン加熱プラズマでの計測が可能となり、ヘリオトロンJにおいても異なる磁場配位での輻射分布計測に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LHDにおいてネオン入射時のダイバータ熱負荷軽減のトロイダル異方性と輻射構造の関係を明らかにするとともに、放射崩壊実験で異なる磁場配位での2次元輻射データの取得ができ、ヘリオトロンJでも輻射分布計測が軌道に乗ったため。 さらに、非接触ダイバータ形成のためのネオン入射実験において、これまでの主成分分析による特徴抽出に加え、2次元輻射データにオートエンコーダによる異常検知を適用した。その結果、従来のダイバータ静電プローブ計測のイオン飽和電流値を用いたネオン入射量制御では避けられなかった放射崩壊を事前に検知できることが分かった。これは、令和6年度に放射崩壊における輻射構造の磁場配位依存性を進める上で有益な知見であるため、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、当初の計画通り、令和5年度までにLHDやヘリオトロンJで得られた2次元輻射分布の画像解析やEMC3-EIRENEコードとの比較を進める。 非接触ダイバータについて、LHDでの窒素及びネオン入射時の輻射画像から主成分分析で抽出された、ダイバータ熱負荷軽減のトロイダル異方性に対して特徴的な輻射構造について、EMC3-EIRENEコードで計算される輻射構造との比較を進める。また、不純物の過剰な入射により生じる放射崩壊の前兆となる輻射構造についても、主成分分析とオートエンコーダによる異常検知とを組み合わせた解析により明らかにする。 放射崩壊について、非接触ダイバータと同様、LHD実験データにオートエンコーダによる異常検知を適用し、輻射構造の変化とその磁場配位依存性を明らかにする。また、ヘリオトロンJで得られたデータに対しても同様の解析を進める。先行研究では、電子密度の増加割合や周辺電子温度の放射崩壊との関係が指摘されており、さらに本研究課題で輻射構造を加えた議論をすることで、放射崩壊の物理研究が進展すると期待できる。 研究発表の手法については、International Stellarator/Heliotron Workshop (ISHW)や核融合エネルギー連合講演会、プラズマ・核融合学会年会での発表、Review of Scientific Instruments誌などへの投稿を中心に進める計画である。
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Causes of Carryover |
令和5年度の使用額について、前年度にコロナ禍に伴い国際学会がオンライン開催となったこと等による未使用額の繰り越しが生じた。令和6年度は当初の計画に加え、学会参加のための出張旅費などに使用する計画である。
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Research Products
(3 results)