2022 Fiscal Year Research-status Report
雲微物理素過程分類による降水組成マッピングを用いた降水メカニズム解明に関する研究
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22K03724
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
橋本 明弘 気象庁気象研究所, 気象予報研究部, 主任研究官 (20462525)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 素過程追跡スキーム / 雲微物理モデル / 氷晶 / 降雪粒子 / 過冷却雲粒 / 雲粒寄与率 / メソスケールモデル / Rainscope |
Outline of Annual Research Achievements |
【モデル改良と降水メカニズム解明】素過程追跡モデルに改良を加え、凝集体粒子に含まれる初期氷晶の数を追跡できるようにした。氷粒子の雲粒捕捉成長量について、温度によるクラス分けを組み込んだ。降水粒子撮像ゾンデ(明星電気[1])の試験観測で捉えられた南岸低気圧に伴う降水粒子の特徴[2]と素過程追跡モデルの結果を比較し、モデルが降水粒子の特徴をよく再現していることを確認できた。さらに、後方流跡線解析を行い、この事例で捉えられた雲粒付き雪粒子の生成には、茨城県沖の対流性降水域から供給された過冷却雲粒が寄与していたことが分かった。気球による降水雲の直接観測と素過程追跡スキームの連携によって降水機構解明に資する知見が得られることを示した。 【温暖化研究への波及】素過程追跡スキームが組み込まれた次世代気象気候科学における基盤ライブラリモデル(SCALE, 理研)による数値実験をもとに、北海道における降雪粒子タイプの分布が温暖化によってどのように変化するか検討した[3]。 [1] 明星電気株式会社, 2023: 「降水粒子撮像ゾンデRainscope」による線状降水帯集中観測.明星トピックス, 197, https://www.meisei.co.jp . [2] Suzuki et al., 2022: Development of a new cloud/precipitation particle imaging radiosonde. 19th Annual Meeting of the Asia Oceania Geosciences Society, A39. [3] 鎌田ほか, 2022, 数値モデルを用いた冬季北海道に おける降雪結晶に関する解析. 雪氷研究大会 (2022・札幌), D2-1, https://doi.org/10.14851/jcsir.2022.0_107 .
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(2)おおむね順調に進展している。 素過程追跡モデルに、凝集体粒子に含まれる初期氷晶の数を追跡できるよう改良を加えた。氷粒子の雲粒捕捉成長量について、温度によるクラス分けを組み込んだ。 冬季南岸低気圧に伴う層状性降水域における降水粒子の特徴を素過程追跡モデルを用いて再現し、気球観測の結果をもとに検証するとともに、この時の降水形成機構について考察した。 気象レーダー観測をもとにしたモデル検証の方法について検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
冬季季節風下の筋状雲・地形性降雪雲・JPCZに付随して生じる降雪雲・低気圧にともなう降雪雲等を対象に、雲微物理素過程追跡スキームを用いた数値シミュレーションを行うとともに、それらの降水形成機構解明に取り組む。
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Causes of Carryover |
(理由)成果発表のための旅費を次年度に繰越したため。 (使用計画)成果発表のための旅費に使用する。
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